多くの人と出会い、「気づき」を提案したいとヘッドハンターに
――リクルートエージェントを退社して、独立した理由を教えてください。
1992年に、リクルートエージェントの前身であるリクルート人材センターに入社し、17年間、人材紹介業に携わっていました。今でこそ人材紹介の免許を持つ会社は1万社を越えていますが、当時はまだ人材紹介事業の黎明期で、業界の歴史や成長を肌で体感してきたと思っています。
リクルートでは組織長として営業部門の統括や新規事業の立ち上げを行う一方で、法人向けの採用コンサルタントとして、人材ニーズのヒアリングを行うと共に、クライアントの経営会議に出席し、3年後・5年後を見据えた組織の設計などを行っていました。
転機は2008年に、リクルートの過去1,000名近い営業マンの累計売上で、トッププレイヤーとして殿堂入りの表彰をいただいたことです。私は当時から、プライベートでもビジネスマッチングを行い、友人同士をつなげることを行っていました。今後のことを考えた時、もっと一人でも多くの人と出会い、企業と個人双方に対する気づきの提案に特化していやっていきたいと考えるようになり、独立を決意しました。
社名の「キープインタッチ」は「ずっと連絡を取り合いましょう」という意味なのですが、つながりの大切さに対する想いを込めています。
求職者の「ビジネスの力」を丹念に分解し、抽出する
――田畑さんのヘッドハンターとしてのポリシーを教えてください。
企業に対しては、経営者と一緒に中長期的な経営課題を考え、その課題を解決できるような人材採用の提案を行っています。経営課題を検討する過程で、顕在化していなかった採用ニーズが生まれることが多いため、他にはない独自の案件も多数あることが特徴です。
コンサルティングを行う上で、「気づき」の創発をとても大切にしています。たとえば、ある自動車部品のサプライヤーから、製品の耐久性をさらに向上させていきたいという課題をお伺いしたときのことです。
採用担当者は同じ業界の中で即戦力を探そうと考えていました。しかし私は、ビルの免震や耐震といった建築力学のスキルを持つ異業界の人材採用を提案しました。新たな革新を起こすには、異なる業界の「ビジネスの力」を持った方を採用することがベストだと考えたからです。その結果業界の中で革新的な製品が生まれたのですが、このような革新は、同業界の方ではなかなか出てこなかっただろうと思います。

一方求職者の方に対しては、「ビジネスの力」を丹念に分解し、抽出することに力を入れています。「ビジネスの力」を分解する中で新たな「気づき」が生まれ、ご本人が思ってもみなかった求人の提案をすることもあります。
また、企業に提案して組織を変え、その人だけのポジションを創出することも頻繁にあります。
たとえば、飲料の商品開発を行っていた方が、高級アイスクリームの商品開発担当として転職された事例があります。
飲料と冷菓は全く違う技術を要する異なった業界として位置づけられていますから、飲料業界の方は通常、飲料業界に転職します。採用する企業側も、冷菓業界の中から人材を探していました。
しかし、その方のビジネスの力を分解していくと、「風味や味わいに対する追求」というビジネスの力が、この会社の課題を解決できるのではないかと考えました。企業側にも同じ説明を行い、面接をしたところ見事に合格されました。その方は入社後、高級アイスクリームのヒット商品を開発し、今でも活躍されています。なお、その製品は初めての日本発のグローバルヒット商品となりました。(次ページへ続く)


