エンジニアとして生き残りたいなら趣味を持て

 前回、男性は保守的になりがちなので、それを意識して仕事に取り組むことが大事だと延べました。では、外に目を向け、変化への対応力やコミュニケーション能力を身につけるのにはどうすればいいかですが、趣味を持つことは大きいと思います。朝から晩まで仕事にかかりっきりの方が多いでしょうから、そういった環境で趣味を持つことはたいへんかもしれません。でも、ちょっとしたことでかまわないんです。趣味は、必ず自身の世界を広げるのに役立ちます。

 たとえば、マクドナルドのオマケやペットボトルのフタのコレクターもいるのですが、なんとオフ会も催されます。実際に私も参加したことがあるのですが、すると普段付き合わないバックボーンを持った方と出会えるのです。農家や仮面ライダーの着ぐるみの中に入っている方、銀座のチーママさんもいました。

 こういった異なる世界に住む人間同士、共通の趣味を持っていることで、意外と人間関係が深まります。同じ種類の人とばかり集まっていると、世界は広がりません。サーフィンでもボランティアでも構いません。仕事以外の何かにトライしてみるのもいいのではないでしょうか。そういったところで得られた人脈や知識は、必ず何かの役に立ちます。「他人と話すのが苦手」という方もいるかもしれませんが、そういった人こそ趣味を持つべき。共通の話題から入れば、おのずと会話も盛り上がります。

 とにかく、エンジニアとして生き残りたいと思うなら、コミュニケーション力は非常に重要です。事実、有能なエンジニアはシステムを作るだけではなく、クライアントも含めて周りの人との意志の疎通が上手です。だからこそ、良いモノが作れるのですが。自己中心になる「天動説」のスタンスじゃいけません。

 ただし一方で技術者が不利なのは、企業のシステムセンターや研究所が都市部ではなく、郊外にあるケースが多いこと。周りに遊ぶ場所や出会いがないがため、内に籠ってしまうということも、よくあるようです。やはり、積極的に外に出ることが肝心です。

転職先の情報を得るためにも、意識してネットワークを広げよ

 転職についても触れておきましょう。エンジニアの方は手に職があるということから、異業種に比べて転職が多い傾向にあります。もちろん、それ自体は悪いことではありません。誰だって、自分の腕を認めてくれ、より優遇してくれる会社で働きたいものです。

 私もこれまで、散々転職を繰り返してきたので止める権利はないのですが、ただし気をつけなければならないのは、次の会社を決めてから辞めるということ。現状として、「こんな上司のもとでは働けない!」と思っている方も少なからずいるのでしょうが、バカな上司はどの会社にだっています(笑)。短気を起こして辞めてしまったところで、次の職場でも同じ問題に悩まされる可能性があるのです。

 ですから、転職は慎重に。重要なのは、会社の中身、社風をチェックすることです。大体、そういったことはクチコミで伝わるので、クチコミ転職がうまくいくと言われているのは、生の声が聞けるからでしょう。

 ではそういった情報を得るにはどうしたらいいかですが、それが普段からのネットワークです。私がエンジニアの皆さんに外へ出たほうがいいと勧めるのは、そういった鮮度の高い情報や、転職の際に人脈が活きてくるからというのも理由です。

 ただし、自身の年齢には注意してください。20代のうちは割と転職しやすいのですが、30代になると「私はこの仕事をすると、こういった成果が出せます」と、仕事の能力そのものが問われるようになります。さらに40代になるとさらにハードルが高くなり、自分や仲間とユニットで入れてくれれば、これだけの利益が出せますというように、自己完結的なところまで提案できないと、転職先で自由に動けなくなります。ですから、自分の腕一本で転職できるのは30代まで。40代以降はマネジメント込みということになります。(次ページへ続く)


 
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森永卓郎が語る「エンジニアの生き残り術」4  転職を成功させるためには「かわいい人」になれ
エンジニアとして生き残りたいなら趣味を持て

転職先の情報を得るためにも、意識してネットワークを広げよ

転職を成功させるためには「かわいい人」になれ




著者プロフィール
森永 卓郎(モリナガ タクロウ)

 1957年生まれ、東京都出身。80年東京大学経済学部卒業。日本専売公社、日本経済研究センター、経済企画庁総合計画局等を経て、現在、大手金融系シンクタンク主席研究員。専門分野はマクロ経済学、計量経済学、労働経済、教育計画。難しい「経済」を切るその語り口は解りやすく、明快である。ミニカーほか、さまざまなコレクターとしても有名。






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