Webプロデューサーから仏像ガールになるまでの経緯

――なぜ「仏像」なんでしょうか。
中学生のときに、大好きだった父が亡くなったことが大きなきっかけでした。はじめて「死」を意識して、「死んだら人はどこにいくの?」「なんで生きてるの?」といったことを考えるようになったんです。そして、死ぬことが怖くなっちゃった。その恐怖から逃れたい一心で、お寺をめぐるようになりました。お寺めぐりがすっかり趣味となった高校2年生のとき、はじめての仏像との出会いがありました。ひとり旅で訪れた京都の三十三間堂で、涙を流して感動したんです。「仏像ってすごい、人ってすごい!」 って。
仏像のことをもっと知りたくて、大学では仏教美術を専攻しました。私が行ったのは上智大学の比較文化学部(現:国際教養学部)という少し変わった学部で、海外の留学生や帰国子女が学ぶための学部でした。なので、授業はもちろん入試や合格通知など、何からなにまで英語!私は留学経験もなかったので、英語に慣れるのは本当にたいへんでした(笑)。
――やはり将来的には、なにか仏教にかかわる仕事がしたいと?
就職のことはまったく考えていませんでした。とにかく大好きな仏像や仏教のことを学びたかったんです。大学院進学も考えていましたが、経済的な事情もあって、4年生になってからやむをえず就職活動を始めました。
就職氷河期まっただ中という時期で、とくにやりたい仕事も見つからない私は、手当たり次第有名な大手企業ばかり受けていました。明確な志望動機もないので当然なんですが、何十社と落ちて、結局ベンチャーの旅行会社に入社しました。
――仏教とまったく関係のない仕事です。いかがでしたか?
ベンチャー企業ですから、やりたいと思ったことは何にでも挑戦できて、とても楽しかったです。1年半ほど経つと、結果も出せるようになって、会社からも認めてもらえるようになりました。「そろそろ次のステップかな」と思っていたところに、Web制作会社から声をかけてもらったんです。フリーランスのメンバーが集まってつくった小さな会社だったので、自分で好きな仕事をとってきて、好きなスタッフと一緒にそのプロジェクトを回していく……という仕事のスタイルでした。
SOHOだったので、出社しなくてもOKでした。そういうと羨ましいと思う方もいるかもしれないけれど、私にとってはとてもたいへんでした。今までは、「あの人よりたくさん電話をとっているから、私はがんばってる」とか「あの人よりも、私の方が評価されている」とか、いつも比べる人がいたんです。そうやって他人と比較することで自分の位置を確認していたんだと気づきました。でも、1人で仕事をするようになると、その「尺度」がないんです。自宅オフィスでひとりで仕事をするようになった最初の頃は、何が正しいのかすらわからなくなってしまい、「自分」を見失ったこともありました。
半年も経つと、もともとフリーランスが集まってできた会社ですから、みんな「結局フリーでいいじゃないか」と、すぐ解散することになりました。そのときに私には、2 つの選択肢ができました。1つは会社員になること。もう1つはフリーランスになることでした。「安定」か「冒険」か……。悩みましたが、Web制作会社のときからのお客さまもついていたので、フリーランスのWebプロデューサーになる道を選びました。(次ページへ続く)



