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 ハックスシリーズの著者として知られる小山龍介氏が主催するセミナー「シナプス」が2010年5月に開催された。ゲスト講師は株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長の小室淑恵氏。ワークライフバランスについてはもちろん、社会起業家として「夢を実現する方法」についても語った様子を、実況中継式でお届けする。【バックナンバーはこちら】



女性が出産後も「働き続ける」ことが日本を救う

 ここからは、行政と企業の取り組みについてお話していきます。それぞれ抱える問題は異なるのですが、ワークライフバランスについて、非常に熱心に、問題意識を持って取り組んでいます。まずは行政のほうから見ていきましょう。

 日本社会が抱えるもっとも頭の痛い問題は、少子高齢化です。年金の払い手である労働力人口が激減し、貰い手側の65歳以降人口が激増し、年金財源が枯渇します。年金財源の枯渇を阻止するため最初に行政が目を向けたのは、出生率の改善です。子どもが生まれれば、将来の労働人口の増加が見込めます。しかし、生まれた子どもが年金を払うようになるには約20年かかります。差し迫った問題にもかかわらず、即効性がない解決策といえます。

 さらに、日本は出産後の女性が働き続けやすい社会ではありませんから、会社を辞めることになります。すると、働き手として年金を納めていた人間が1人減ってしまいます。そこで行政は、出生率向上と同時に、女性の継続就業に取り組みました。それが、さまざまな社会制度の充実につながっています。代表的な例として、次世代育成法があります。育児する自社社員を支援することを義務付けた法律です。現在(講演は2010年5月27日)、301人以上の企業では義務化されていますが、2011年4月から101人以上の企業にも適用になります。

 次世代育成法に従い、社員を支援し計画を達成していると授与される「くるみんマーク」があります。就活学生から見ても、積極的に取り組んでいる企業とそうでない企業がひと目でわかるようになります。この対策については、奨励金助成金なども用意されていて、企業にはかなりの部分が補填されます。取り組みやすい条件が整っているわけです。

2人目の壁を打ち破るのは、男性のワークライフバランス

 女性が働きながら子育てができる制度整備が急務だとおわかりいただけたと思います。そこで行政は、「女性の両立支援」に一生懸命取り組みました。ところが、なかなか2人目以降を産まない。実は、もう1つ、2人目の壁という問題があるのです。

 先にもお話したように、日本は60時間以上残業する人の割合がもっとも高い国です。そこで女性が子どもを産むと、待っているのは「深夜まで続く、たった1人での育児」です。残業している夫は帰ってきませんから。妻が2人目は産みたくないと思うのも当然でしょう。

 厚生労働省から出ているデータによれば、夫の帰宅時間が遅く、家事育児への参画時間が少ないほど、妻の2人目以降の出産意欲が下がる傾向があります。行政もこれに気づいて、男性の両立支援に力を入れ始めました。

 昨年くらいから、サービス残業や名ばかり管理職の問題が目立つようになってきたと思いますが、これは少子化対策とつながっているわけです。男性の労働時間の問題は、国家の問題なんだということになったわけです。(次ページへ続く)


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INDEX
小室淑恵が語る「ワークライフバランスがもたらすソーシャルイノベーション」【2】 少子化・介護問題解決のカギは男性のワークライフバランスにあり
女性が出産後も「働き続ける」ことが日本を救う

2人目の壁を打ち破るのは、男性のワークライフバランス

ワークライフバランスは企業の経営効率を上げる

学生は「仕事と生活を両立できる企業」に就職したい

どこでも通用する人材になるために、優秀な人材ほど流出していく

介護問題でワークライフバランスは男性にこそ必要に






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