もうしばらく頑張れば、ブラック企業を抜けられるはず…だったのに

「年齢を重ねれば収入も上がってラクになるはず」「いまはつらいけれどスキルを磨いて、いずれ転職してやりたい仕事をしよう」。こんな明るい未来を夢見て、現在ブラック企業で頑張っている若者もいるはずだ。
それに釘をさすようだが、キャリアアップ転職、年収アップ転職はなかなか難しいのが現状だと、キャリアコンサルタントの蟹沢孝夫さんはいう。
「まず新卒の就職に関していえば、数年前の新卒バブル期とは異なり、有名私大を出ているからといって希望の会社に入れるとは限らない時代です。
転職についても状況は芳しいとはいえず、キャリアアップを狙って勢いよく会社を辞めたものの、思惑通りにはいかず、ブラック企業に入らざるを得ないというケースも増えています。
もちろん、転職希望者の方もこうした状況を理解されていて、『今よりいい会社はどこかありませんか?』なんて軽い感じのご相談は、リーマン・ショック以後はあまりありませんね」
転職活動者は少ないパイを奪い合う 負ければブラック企業だ
とくにIT企業においては、2008年前半までは輸出産業や金融業界の景気がよく、IT投資も盛んに実施。ECサイトやモバイルサイトの開設が相次ぎ、それに伴い元請けとなる大手システム会社、さらに下請け会社は多くの技術者を採用した。
ところが同年9月に起きたリーマン・ショック以降、求人は激減。減収ながらも正社員の雇用を守らなければならない大企業は、中途採用を控えがちで、転職活動者は、少ないパイを取り合う状況だ。
「なかには格好悪いからという理由で、ダミーの求人を出す大手企業もあるほど。実際は書類選考を通すつもりはないのに、業務好調に見せかけるために応募を募るのです」
一方で、厳しい職場環境やモチベーションの維持が難しいことから人材が流動しがちな肉食系や草食系ブラック企業は、大企業に比べると門戸は開いている。するとおのずと、こうした企業に転職する人が増えることになる。蟹沢さんもこれまで、ブラック企業へ足を踏み込んでしまったビジネスマンの相談に乗ってきたという。
「ITソリューション営業代行会社から外資系SI企業に転職した、営業職の方のエピソードをご紹介しましょう。給料は固定給+成果報酬、四半期に一度営業目標が設定される会社でした。前期に目標を達成していれば『優秀』と評価され、次期のハードルが上げられます。目標が達成できなければ、成果報酬が下がり、結果的に収入が減ります。けれど、頑張って達成すればするほど次のハードルが上がり、ゴールは遠のき、結果的に年収は上がらなくなるのが現実でした。結果的に、その方は非常にストレスを感じておられました。大手元請け会社のほうがブラック企業である可能性もあるわけです」(次ページへ続く)


