A.広告の記述を正確に読み込んだうえ、必ず入社前に確認すること
実態と異なる虚偽の広告や虚偽の条件を示して、求人募集をしたり職業紹介、労働者の供給を行うことは法律で厳しく禁止されており、違反には懲役や罰金も設けられている。昨今では、コンプライアンスへの意識も高まっていることから、求人企業は十分な配慮をしているのが普通だ。
また、求人広告を掲載する媒体を発行・運営する企業も、法律に抵触する恐れのある求人広告の扱いを警戒しており、独自の掲載基準や表現のガイドラインを設けている例もある。信頼できる媒体を選べば、基本的には求人広告の記載を疑ってかかる必要はないだろう。
ただし知っておきたいのは、求人広告には、特有の用語や省略表現、また媒体ごとの表記ルールなどもある点。たった1文字の違いが、大きな待遇の格差につながる例も多いので注意が必要だ。関心のあるところだけを拾い読みしたり、憶測で勝手な解釈をしたり……といった求人広告の読み方は、取り返しのつかない事態を招きかねない。
基礎的な求人の用語や表現に注意して誤解による失敗を防ぎたい
これまで転職体験者の失敗談もよく耳にしてきたが、驚くのは「誤解」が多いこと。たとえば、入社後、手にした給与が約束より数万円も低かったAさん。剣幕も激しく総務に駆け込んだが、会社は約束の額を払っており、そこから税金や社会保険料が引かれているだけ……とわかった。Aさんは、求人広告や給与交渉で「給与」と言えば、通常は「手取り額」ではなく、天引き前の「額面給与額」を指すことを知らなかったのだ。
あえて「誤解」としたが、上記のような話を「常識知らず」「無知」と笑える転職希望者はあまりいない。実際、求人広告には「完全週休2日制」と「週休2日制」など、見た目には“単に些細な表現の差”のように思え、誤解を生じやすい用語も多いからだ。よく出てくる基礎的な労働条件などの用語や表現は、あらかじめ正確な意味を調べ、不明点・疑問点があれば、直接、求人企業に尋ねるなど、必ず確認することを心がけたい。
求人広告に示されていることは、必ずしも「すべて」ではない
また、もうひとつ注意したいことがある。既出の(Q.いい求人企業を見つけるコツってある?)の中でおすすめした、「自分なりの選択基準による求人広告チェック」を実践していただければ気づくが、実は、求人広告には示されない待遇条件が多いのだ。
たとえば「試用期間」について。その記述がなくても「試用期間がない」とは限らない。また「試用期間あり」とあれば、期間の長さ、期間中の労働条件の確認も必須だ。試用期間中だからと言われ、低い給与で社会保険にも未加入のまま1年以上も勤務したあげく、本採用されなかった……という労働トラブルの例もある。
もっと身近なのが「残業」のことだろう。「勤務時間」として求人広告に記されているのは、その企業が就業規則で定めている内容であり、実態ではない。早出・残業の有無や頻度、時間数の多少などの情報は、求人広告には示されないのが一般的。
そのように考えれば、求人広告に書かれたことの信用度を心配する以上に、求人広告にはない待遇条件に注意を向けていく必要もあるだろう。たとえば歩合給や昇給の詳細といった給与に関係したことなど、応募前の電話やメールの問い合わせでは、尋ねても回答の得られない重要項目もあるが、それでも、求人広告をしっかり読み込めば、疑問点・不明点が洗い出されてくるもの。
応募前にチェックできないことは、面接での確認質問、また内定時などに示される就業規則や労働条件通知書で確かめることで、後悔しない会社選びができるはずだ。最終段階までに確認したい内容、確認方法などについては、「ステップ4(面接と会社チェック)」「ステップ5(内定連絡・入社手続き)」で、改めて述べていきたい。



