最終回は探偵の採用裏話 あなたは採用されるか?
10回に渡って企業の雇用調査について語らせていただいたこの連載も、今回で最終回。実は私も所属する探偵社では採用担当ですので、ラストは探偵ならではの採用基準についてお話したいと思います。一般の事業会社の面接を受けるつもりになって、私が繰り出す質問に、自分ならどう答えるかを想像してみると面白いかもしれません。
面接の場に現れる探偵志望の若者は、正直なところ、常識に欠けるタイプが多いというのが現実です。面接時に部屋に入ってきた私に対して、立って挨拶出来るのは10人に1人。口から出るのは大言壮語と独りよがりな自己分析ばかりです。開始1分で不採用となるケースも珍しくありません。しかし、調査現場に関しては場数と度胸と自信も重要なため、それらに強みがあると思えれば、多少の常識の欠如には目をつぶって「とりあえず採用!」となることも稀にあります。
探偵の資質を見抜く二つの質問 「無茶振り」と「記憶力」を調査
とはいえ、探偵というのは、皆様が想像するよりも狭き門です。長年の面接官経験から、私は必ず二つの独自の質問をするようにしています。それをクリアしないと採用はしません。
ひとつ目は「いわゆる“すべらない話”をしてください」というもの。話が面白ければ採用!というわけではなく、無茶振りへの対処がスムーズに出来るかどうか、相手を話に引き込もうと考えて喋っているか、語の構成に破綻がないかをチェックします。
調査では知らない人と話して情報を掴むことが大事ですので、強烈なアドリブ能力が毎回試されます。「私はそういう話は持ってないんです。申し訳ありません」とごくごく常識的な回答をした人は残念ながら不採用です。この能力は、一般の営業職にも求められる資質ではないでしょうか。「この質問、何か意味あるんですか?」とムキになって噛みついてきた候補者には、その意図を伝えた上で、「では、お願いします」と改めて要求します。
もう一つの質問は「昨日のお昼、何を食べましたか?」です。この質問の意図は記憶力を測るためではなく、解答までにどれぐらいの時間を要したかを見ます。実際に何を食べたかは自分にしか分からないわけですから、答えの正確性よりも、素早く、リズムよく答えを返せることが重要です。なぜならば、聞き込みの最大の敵は「沈黙」だからです。(次ページへ続く)



