今回から2回に渡り、「愉快なプチ搾取企業」を取り上げたいと思います。今年の春、お酒の席で、ある著名人から「ネット系の◯◯◯◯って、“愉快なブラック企業”なんだよね」という話が出ました。
「ブラック企業」というとやや意味がぼやけるので、私なりに解釈すると、「プチ搾取」をしている企業を意味していたと思います。では、今回は、「愉快なプチ搾取企業」を掘り下げ、実態に迫ってみたいと思います。
愉快なプチ搾取企業は、「仕事が好き」「頑張りたい」気持ちを悪用している
「愉快なプチ搾取企業」には、代表的な2つのパターンがあります。
- 「好きなことを仕事にしたい」という気持ちを悪用する企業
- 「モチベーションが上がる楽しい職場」であることを悪用する企業
仕事や職場が大好きで、ワクワクしながら会社行くという会社員はたくさんいます。しかし、その感情は本当なのか、またベストなコンディションから出ている発言なのか、確かめる必要があります。
皆さんのまわりに、「仕事が楽しくてしょうがない!」と言っていた友人が、突然、体調を崩してしまったことなどはないでしょうか? 実は、私自身も何度か経験があります。「深夜残業や休日出勤も平気!」と言う働きマンのアナタこそ要注意です。「ワーキングハイ」とも言える状態で、実は疲れていることや、病んでいることに気づかないのです。健康は失ってみて、はじめてそのありがたみに気づくものです。当たり前ですが、人間はいつまでも若くないですし。
無理をするのは自己責任の部分もありますが、なかには「好き」や「頑張りたい」という気持ちを悪用している企業もあります。そして社員は、「プチ搾取」されていることに気がつかないのでタチが悪いのです。
「大好きなことを仕事にしている!」ところで、雇用条件はどうですか?
「好きとか、憧れとかミーハー感覚で会社を選ぶな」
「やりたいことだけを基準に会社を選ぶな」
大学や自治体などで就活やキャリアなどの講演をする機会が多いのですが、必ずこのことを伝えることにしています。、好きなことが自分に合っているとは限らないこと、働いてみてからのギャップに苦しむことなどが理由です。とくに新卒の就活生の場合は、自分が好きな商品・サービスを扱っている企業を憧れで受け、ひと通り落ちて就活がイヤになってしまう学生が多いのです。
「ぼ、僕はテレビ局で感動を伝えたいんです! フリーペーパーとかつくっていて、クリエイティブですし」などと言う学生と毎年遭遇します。「全然合ってないからやめとけ」と喉まで出かかるのですが、若者の夢を壊すわけにも行かず、複雑な心境になるのです。「好き」「憧れ」だけで仕事を選ぶ方は、ぜひ電力会社を受ける際は「御社の電気は最高です!」とでも言ってください。
やや話が横道にそれましたが、この「好き」という気持ちは魔物です。皆さんの周りには「だって好きなんだもん」という気持ちからダメ男にハマる女性はいないでしょうか? 私も多数、目撃してきました。約束を守らない男、女性に図々しい要求をする男、なかなか結婚の踏ん切りがつかない、決められない優柔不断男に、デキる女性が翻弄された事例は枚挙に暇がありません。でも、「そんな◯◯君が好き!」と恋愛中毒になっていて抜け出せないのです。
仕事においてもそうです。「好きなことを仕事にしている」という満足感から、安いお給料や過酷な労働条件で働いてしまうのです。そして、相当キツいことにも気づかないのです。旅行、マスコミ(中でも中堅・中小の出版社、編プロなど)、エンタメ、ネット関連など、華やかそうな業種によく見られる傾向です。「好きだから頑張れる!」のも事実なのですが、プチ搾取には気づくべきです。
私の学生時代の友人に、たいへんな旅行好きな友人がいました。好きな旅行にかかわる仕事をしたいと考え、中堅旅行代理店に入社したのですが、毎日が激務。土日が休みじゃないこともよくあったそうです。結局、彼は数年で退職し、大手電機メーカーに転職しました。趣味とはまったく関係ないですが、元気でやっている様子です。
人材紹介会社関係者などによると、世の中全体や、業界全体と比べても相当給料が安いにもかかわらず、常に志望者がいる企業もあります。具体的な社名も聞いてしまいましたが。。「大好きな◯◯にかかわれる!」という理由から年収が下がったとしても、そのような企業に転職してしまうのです。それも生き方の1つではありますが。
「好き」という気持ちから感覚が麻痺してしまっていて、気づけば厳しい労働条件で、安い給料で働いていませんか?(次ページへ続く)


