『偶然ベタの若者たち』著者・関沢英彦教授に聞く 偶然活用術
こんにちは、大学ジャーナリストの石渡嶺司です。
私にとって人生は偶然続き。そして、書店は偶然の出会いがいくらでも起こる場所です。そんな書店である日、『偶然ベタの若者たち』(亜紀書房)に出会いました。同書は表紙からして独特です。白地に水色の文字での文章が延々と続きます。その一部を転載しましょう。
リスクを避けることが第一の人生は、とても味気なく思える。ひとりの人間が持っている世界は狭い。自分の世界から一歩踏み出したところ、自分の世界からかけ離れたところに、新しいヒント・きっかけ・出会いが、山のように転がっているはずだ。偶然ベタの若者たちは、そのことに気づかないでいるのだと思う。もったいない! リスクを回避するためには、自分の人生を、自分でコントロールしなければならない。だが、自己決定にしばられすぎると、すべてを自分で決めなければ納得できない状況に追い込まれる。そうなると、たまたまラッキーなこと(あるいは、そういう結果になるかもしれないこと)が起きても気がつかない。たとえ、気がついたとしても、「自分の決めた目標と違う」と拒んでしまう。
私もまったく同感です。偶然によって、良いこともあれば悪いこともあります。同書との出会いは、良い偶然のうちの1つでした。なぜなら、偶然とはなにか、そしてなぜ偶然をうまく使えない若者が増えているのか、きちんと説明されているからです。
偶然を日頃の仕事や転職にどう生かせばいいのか、著者の関沢英彦・東京経済大教授に聞いてきました。
偶然ベタなのは「生活水準を下げたくない」と臆病になるから

石渡:今の若手社会人がなぜ偶然下手なのでしょうか?
関沢:3つほどあります。
1つは社会情勢。社会が上向きに変化しているときは何をやっても自分にプラスになりやすいのです。日本だと高度成長期がそうですし、現代だと中国がその典型でしょう。一方、日本は1990年代のバブル崩壊以降、社会全体が右肩下がりです。そうした状況のときは自分にマイナスになる要素の方が多いのです。その分、ネガティブになりやすいですね。そうなると、臆病になりやすく、今の生活水準より下にならないようにするのが第一目標となってしまいます。
2つめはIT化のおかげです。ITはとても便利です。ピンポイントで必要なデータを取りやすいメディアです。その代わり、周辺情報がとりにくい、という欠点があります。ITに頼れば頼るほど、気をつけないと、視野が狭くなりやすいですね。
3つめは社会情勢とIT化の影響もあって、目的に対して最小距離で行こうと考えてしまうこと。たとえば就職や転職だと、リスクを避けるためにたとえば資格を取ろう、ということになります。
石渡:資格を持っていればどうにかなる、という問題ではないですよね?
関沢:その通りです。(次ページへ続く)


