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 IT業界の転職に詳しいキャリアコンサルタントが、かかわった転職事例から思いついたよしなしごとをつづります。今回は「入社してみたら上司がいない!」「担当する仕事がない!」、そして内定取り消しなど、こんなはずじゃなかった転職後日談をいくつかご紹介します。



このご時勢、面接官も転職活動中なんてよくあること?

 もう何年か前になるが、私が転職支援をしていた人材のAさんから聞いた、忘れられないひとことがある。彼が応募中のB社の面接日程を調整していたときのことだ。

Aさん:あ、その日は出張して採用面接の予定があるので、B社の面接は入れないでください。
筆者 :あれ、Aさんって弊社以外のエージェント経由でどこか応募されていたんでしたっけ?
Aさん:いや、これは私が面接を受けるんじゃなくて、自社の採用面接をするんですよ。
筆者 :え?

 そう、当時、Aさんは有名ITコンサルティングファームの敏腕プロジェクトマネージャーであった。そのポジションにあれば、自社の採用面接にもかかわって当然だ。だが、面接を受ける応募者の立場だったらどうだろう。目の前の面接官が、まさかその会社から脱出準備中だなんて……。

 結局、Aさんは私が紹介した企業に転職してしまった。彼と転職祝いの飲み会をセットした時に、将来の上司として採用面接をしておきながら、自分が辞めてしまうことをどう思うか(責任を感じないか)と聞いてみた。

 するとさすがコンサルらしく、こんな答えが返ってきた。

 「自分が面接する側に立つときは、決して会社の悪口はいわずに、さりとて『俺を慕ってこの会社に入りたいと思うなよ』という無言のオーラはしっかり出して、責任ある対応するのだ」と。

 恋愛もそうだが、相手に対して変に気を持たせるほど罪なことはないのである。読者のなかには、自分は脱出用のパラシュートを背負いながら、一方で面接官として採用面接をしているという方がいらっしゃるかもしれない。もしそうであれば、こうした不幸な人を生み出さないために、くれぐれも注意を払っていただきたいものである。(次ページへ続く)






著者プロフィール
蟹沢 孝夫(カニサワ タカオ)

団塊ジュニアのいわゆるロスジェネ世代。大学院修了後、いわゆる「勝ち組」職場に事務職として勤務するも、人生の再チャレンジの機会を提供する転職支援の仕事に魅力を感じ、将来の安定を捨てて30代で人材紹介会社のキャリアカウンセラーに転じる。これまで600人以上の転職支援にかかわり、大手から中小下請けまで、さまざまな企業で働く人びとの勤務実態および各社の採用の理不尽さを垣間見てきた。

著書に 『ブラック企業、世にはばかる』(光文社)がある。ブログ『ブラック企業研究所』も更新中。






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