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 スポーツの世界で輝きを放ったアスリートたちのなかにも、引退後はその世界から離れて“第2の人生”を選択する者は少なくない。彼らはいかにして己の次なる人生を決断し、歩んでいるのか。

 最終回はアメリカンフットボールの玉ノ井康昌。Xリーグの強豪オービックシーガルズ(旧リクルートシーガルズ)でディフェンスバックとして長年にわたってチームの中核を担い、日本代表でもワールドカップに2度出場するなど日本のアメフト界を盛り上げてきた1人だ。プレーヤーとして活躍してきた傍ら、営業マンとしても才覚を発揮。アスリートと仕事を持つ社会人の両立を図ることに、彼は心血を注いできた。

 36歳のときに2009年限りで現役を引退。現在は独立してキャリアカウンセラーとして学生たちの就職支援、アスリートたちのセカンドキャリア支援に携わっている。コーチ業との両立で新たな取り組みに“体当たり精神”で挑んでいる玉ノ井にインタビューした。



アメフト日本代表からキャリアカウンセラーに転身 玉ノ井康昌登場

 玉ノ井は自分を「雑草」と表現する。アメフトのプレーヤーとしても、営業マンとしても“叩き上げ”で階段を上ってきた異質の存在である。

 大学生になってからアメフトに出会った。当時、関東大学リーグ二部に所属した城西大学でプレーして、決して目立つ存在ではなかった。それでも卒業後にシーガルズ入団を決めて、リクルートを傘下に収めていた大手小売企業のダイエーに入社する。

 しかし、順風満帆とはいかない。1990年代後半に起こるダイエーの業績悪化に伴い、彼は退社の道を選択。無職の危機にさらされながらもリクルートの営業を非正社員で一から学びながら、営業マンとしてもプレーヤーとしても高みを目指そうとしたのだ。

 ビジネスをアメフトに活かし、アメフトをビジネスに活かすシナジー(相乗効果)の発想。これが玉ノ井の飛躍を生み出す力となった。営業マンとして結果を残し、アメフトで日本の誇るディフェンスバックに成長していくというストーリーを描いたのだった。

大学生から始めたアメフト はじめからディフェンスを希望

――大学生になるまで、アメフトには関心もなかったそうですね。

「そうなんです(笑)。巨人の原辰徳さんのファンだったこともあって、中学のときは野球をやってまして。ピッチャー、キャッチャー以外はいろんなポジションをやりましたよ。でも、進学した高校には硬式野球部がなくて、友達に誘われてハンドボール部に入りました。担任の先生が顧問だったので抜けられなくなって、初心者の集まりでしたけど、県(埼玉)でベスト8に入るぐらいのレベルではありました」

――何故、アメフトを。

「希望の大学に進学できなくて、(自宅から)遠いということもあって、何かしないと大学をやめちゃうかもしれないなと思っていたんです。そういうときに勧誘を受けて、ヘルメットとユニホームの姿がカッコ良かったんで、本当に軽い気持ちで入部しました。最初、ベンチプレスが40㎏上がるか上がらないかだったのが、トレーニングしたらすぐに60㎏を上げられるようになったんです」

――アメフトに没頭していくようになるのですね。

「自分に向いているスポーツだと思いました。アメフトはオフェンスとディフェンスに分けられるのですが、新入部員のほとんどが華やかなオフェンスを希望していましたが、僕はボールを奪うとかそういうほうがハンドボールでも好きだったので、ディフェンスバックを選んだんです。僕は2年の頃から試合に出るようになったのですが、一部昇格を果たせなくて、先輩たちと悔し涙を流してきました。4年のときにやっとの思いで入れ替え戦まで持ち込めたのですが、残念ながら一部昇格は果たせませんでしたね。

 大学のときは、自分がうまくなることだけを考えていたように思います。自分さえうまくなれば、他のプレーヤーにいい影響を与えて、チームの勝利に貢献できるんじゃないかと思っていましたね」(次ページへ続く)


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INDEX
アメフト日本代表からキャリアカウンセラーに転身 元オービックシーガルズ・玉ノ井康昌の第二の人生[前編]
アメフト日本代表からキャリアカウンセラーに転身 玉ノ井康昌登場

大学生から始めたアメフト はじめからディフェンスを希望

クリニックで評価を受け、強豪リクルートシーガルズに入団

スポンサー撤退 迷わずアメフトを選び、仕事探しに奔走

ゼロからの営業 がむしゃらな努力で成果を出し、アメフトと両立





著者プロフィール
二宮 寿朗(ニノミヤ トシオ)

1972年、愛媛県生まれ。日本大学法学部卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。ボクシング、格闘技、ラグビー、サッカーなどを担当。06年に退社し、文藝春秋「Number」編集部を経て独立。

著書に「闘争人~松田直樹物語」(三栄書房)がある。

現在、「Number WEB」にて「日本代表 2010年への旅」を連載中。






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