事業収益にも影響する、弱体化する職場コミュニティを活発にしよう!
まず酒井氏は、「産業人メンタルヘルス白書」などの調査結果を引用し、「日本の職場における人間関係は危機的状況にある」と指摘。その原因は「コミュニケーションの減少」にあるとした。
ただし、e-mailはじめインターネットによるコミュニケーションは増加傾向にあるため、一概に「減少」とはいえない。そこで酒井氏は、論文「インフォーマルコミュニケーション評価に関する考察」(仲谷 美江 , 原島 博 , 西田 正吾, 1994)から引用し、コミュニケーションには「意思伝達」と「人間のつながり」の2種類があり、e-mail等は前者に当たり、後者が減少していると分析した。
人事担当者は、職場をどちらのコミュニケーションも満たせる「組織」であり、「コミュニティ」となるよう務めるべきだと酒井氏。なぜなら、「非公式なコミュニケーションが多く、人と人とのつながりが形成されやすいコミュニティでは、イノベーションが起こりやすい」「ポジティブな空気がある職場では、失敗の許容度が高まり、個人がさまざまな物事にチャレンジしやすくなり、個人の成長につながる」、すなわち「事業収益に影響する」からである。
そこで目指すべきは「職場コミュニティの開発」だが、これはかなり厳しい仕事になると酒井氏。なぜなら、SNSをはじめとするインターネットのコミュニケーションツールにより、職場の人間よりも、さらに自分と近い人間とつながりやすい環境があるからである。そして、趣味や社会的貢献などをビジョンに掲げて生まれたコミュニティは、利益を目的として集った職場よりも、より結びつきが強いことは、言うまでもない。
インターネットのコミュニケーションは今後さらなる進化を遂げることが予想され、「職場コミュニティの弱体化」はますます進むであろうと予測。ただし、自社の職場を競合他社よりも明るい職場にしようと努力することは必要であり、そのためには社員の、「理念への共感」「明るい職場が持つ意義の体感」が不可欠であるとした。
なお、この講演の内容は、今年の秋ごろに書籍として出版される予定とのこと。詳細はそちらを参照されたい。



