クリエイティブ業界の実態がわかる貴重なデータを掲載

エイクエントは、1986年に米国ボストンで設立され、現在は世界18ヵ国73ヵ所に拠点を持つ、マーケティングやクリエイティブ関連では世界最大規模を誇る人材エージェントだ。日本では1997年に東京オフィスが開業。現在は、大阪、名古屋、福岡、札幌の計5拠点で、正社員もしくは契約社員をクライアントに紹介している。
エイクエントでは2004年から、ヨーロッパやアジアの14ヵ国、18の都市を対象に給与をはじめとする労働環境の調査を実施。2008年度版を「The Aquent Orange Book 2008|2009」(以下、オレンジブック)としてリリースした。
「オレンジブックのような、クリエイティブ業界の給与や採用状況を調査、分析するツールは日本で過去に例がありません。そのため、人事、経営に携わる方々の状況改善の判断材料などとして、注目を集めています」(スティーブン氏、以下同)
「広告・クリエイティブ業界の年間基本給与の平均値(東京)」

統計データは、3万6,000通のメールを送信し、レスポンスがあった5,000件の有効回答をもとに作成した。日本国内では、東京、大阪、名古屋、福岡の4都市で、広告会社や制作会社、PRエージェンシーに勤務する人事担当者や正社員を対象に調査を行った。
「調査期間は、2008年2月1日から3月28日。10月末に表面化した経済の悪化で、調査当時と比較して多少は状況の変化はあるものの、平均給与や企業の採用状況や定着化への方策、福利厚生など、有意義なデータは多数あります」
採用は慎重な動き、フリーランス志向者にはチャンス
まず気になるのは、クリエイティブ業界の最新動向。急激な景気後退は、企業の採用にどんな影響を与えたのだろうか。
「多くの企業は、様子をうかがっている状態です。ある外資系の人事担当者からは、『来年も採用自体は行うが、あくまでも注意深く』というコメントがありました。ただし、深いダメージを受けた金融業界などでは、すでに採用を凍結する動きが見られます」
エイクエントでは創業してから22年、3度の景気後退を経験している。こうした時期には、企業の人事・採用は次のような姿勢を示すという。
「パフォーマンスの悪い社員には辞めてもらい、さらに優秀な人材や、それまでとは違ったスキルを持つ人材を採用する傾向にあるようです。採用は極めて慎重で、成長のためというより、辞めた社員の穴埋めに近いかもしれません。これから正社員を目指す方には、厳しい環境になるでしょうね。一方で、契約社員に対するニーズは高まると思います」
正社員の新規採用が凍結されている外資系では、なおさら繁忙期を乗り切るために、契約社員の採用に動き出すだろう。一方、フリーランス指向の人にとっては、自分の力が試せる絶好の機会が訪れているようだ。


