経営層も従業員も、「リストラはありえる」認識に
今、企業経営の現場では「社員は解雇できない」という認識は消え、「社員は解雇しにくい」という認識がかろうじて残っているかどうか。これが今、働く人を取り巻く日本の現実ではないでしょうか。
たしかに、世界の先進国と比較すると、日本の法律は労働者保護の傾向が強いです。経営者や人事部の現場では、会社都合によるリストラを行う場合は、かなり慎重に行う必要があります。
その一方で、リストラの増加は周知のこと。雇われる側からすれば、「解雇の正当性」には納得できなかったとしても、もう「社員は解雇されない」もしくは「社員は解雇されにくい」という認識を持つことが難しくなっているのではないでしょうか。
実際、社員を解雇するためのノウハウや過去の労働判例も蓄積しています。企業の人事部も、労務に関する専門家をただ雇うだけでなく、自らもそうした知識を身につけるようになりました。若手の人事マンであっても、リストラの実務体験を持つ人は少なくありません。
「雇用」は「会社と個人間の契約である」。従来の日本の常識から考えれば、ドライなこの認識が、急速に一般化しています。契約とはすなわち期限があるもの、それも、従来のような60歳定年までの長期契約ではないと、多くの日本人が理解しているのです。
現実がこのように変わってきているのであれば、契約そのものも変化する必要があります。そもそも、契約には必ず、双方が契約を破棄するときの条項が記載されているものです。起きることを想定したくないリストラであっても、あらかじめ用意しておかねばなりません。
起こりがちな認識違いを明文化しておき、破棄することになったら、事前に合意していた方法で契約を終了する。リストラは起きてしまうのですから、こうしておくほうがお互いにとってよほど建設的です。(次ページへ続く)



