コンサルを目指した彼が、転職をやっぱり辞めたワケ
6回も転職を経験していると、よく転職の相談をもちかけられます。相談の内容も、真剣なものから冷やかし程度のものまでさまざま。そんな転職に関する相談を受けていると、ときどき「あれっ?」と思わされることがあります。
ある転職希望者の例です。その相談者には、明確な転職の目的がありました。SEの経験を活かして、もっと上流のコンサルタントを目指したい。必要なスキルを身に付けるために、専門学校へ通う覚悟もあると言います。彼の意志は本物に思えました。私は、相談に乗った後で信頼のおける人材コンサルタントを紹介しました。
それから2、3週間ほど経ったある日のこと。その相談者が再びやってきて、一転して今度は転職をやめると言うではありませんか。私は、そのあまりの急変ぶりに驚きました。ついこの間まで、転職への熱い思いを語っていた当人が、突然やめると言うのですから。
転職を思いとどまることについては、別に反対ではありません。6回の転職を経験しているだけに、転職に伴う苦労は充分すぎるほどわかっています。目的が明確でない転職には、どちらかといえば反対です。相談にくる転職志望者に、転職をやめるようアドバイスすることもよくあります。でも、彼の場合はそれとは状況が違います。
一流企業にいれば、何の苦労もせずに転職できる?
腑に落ちない私は、転職をやめた理由を尋ねました。すると彼は、希望する会社に応募して、不採用になるのが嫌だからやめると言うのです。そして、そんな屈辱を味わってまでして転職したくないというのです。つまり、転職したい気持ちはあるけど、応募して不採用の結果を受け取るような状況には自分をさらしたくないということです。
彼は、不採用の結果を受け取るのは屈辱だといいました。でも、転職活動中に不採用の結果を受け取ることは、屈辱でも何でもありません。当たり前のように受け入れなければならない結果です。
彼が勤めている会社は、だれでも知っている一流企業。彼は、一流企業からの転職であれば、転職先なんかすぐにでも見つかるに違いないと勝手に思い込んでいました。そこに、人材紹介会社の人材コンサルタントから、転職するのは容易でない、不採用になる企業があることも覚悟しておいてほうがいいとクギをさされたのです。彼にとって、そのアドバイスは受け入れ難いものでした。なぜなら、何の苦労もせずに簡単に転職できると思っていたからです。

信じられない?
いいえ、驚くにはあたりません。大企業、一流企業と呼ばれる会社に勤めている社員には、この手のタイプが意外に多いのです。プライドだけが高く、なかには大企業、一流企業で働いていれば、ヘッドハンティングの誘いがくると、本気で信じ込んでいる社員もいるほどです。
でも、現実は甘くありません。どんな大企業、一流企業で働いていても、企業のニーズにマッチしていなければ、当然不採用の結果をもらうことになります。むしろ最近では、大企業、一流企業に長期間働いていることが理由で敬遠されてしまうケースもあるくらいです。ましてや、不採用の結果を恐れるような腰が引けた姿勢では、転職などかなうはずがありません。ここで、転職活動を行う際の心構えとして、アドバイスしておきたいことがあります。



