ただ目の前の仕事に集中すれば、おもしろくなる
――これまでのお話を聞いていると、本当にひたむきにお仕事に取り組んでこられたと感じます。ひたすらDMを発送するような仕事も、売上を達成しなくてはというプレッシャーもあったわけですが、逃げずに立ち向かっていけた理由はなんでしょうか?

おそらく、遅れて就職活動をスタートしたときから、ずっと仕事への不安を抱えているんだと思います。仕事がなくなることや、会社から認めてもらえないことが恐いんです。でも、原動力が不安だけだと壊れてしまいかねませんから、どこかでうまくモチベーションに変えているんでしょうけど。
今の仕事が嫌だからほかの仕事をしようとか、会社を移ろうとか、そうした発想が出るほど自分に自信がないんです。そうして、目の前の課題をクリアしようと必死になっているうちに、仕事にハマっていました。
――では、マイクロソフトを辞めて、起業した理由は?
辞めるときはとても迷い、本当に後ろ髪を引かれる思いでした。けれど、年齢が1つの節目を迎えたこともあって、バランスを家族のほうにシフトしようと思ったんです。夫の仕事の都合上、海外と日本を行ったりきたりしなくてはならないものですから。
ただ、夫も会社を辞めさせた負い目があるのか(笑)、何か仕事はしたら?と勧めてくれて。これまでのキャリアを振り返って、何ができるか考えたところ、人材育成のお手伝いができればと思い、こうした仕事を始めたわけです。
――ご自身でワークとライフのバランスを変えたわけですね。ご著書のタイトルにある「ワークライフ“アン”バランス」のアイディアはどこから生まれたんでしょうか。
一度、知人が経営している企業で、若手社員を中心に、キャリアについてのお話をさせていただいたことがあるんです。そこで感じたのは、皆さん真剣にお仕事に取り組まれていて、頼もしいということでした。
でも1点、気になったことがあったんです。それは、今取り組んでいる仕事のレベルより、遥か先を見て、「将来起業するにはどうしたらいいですか?」「事業部長になる秘訣は?」などの質問が飛んできたこと。
たとえると、2~3段目の階段を上っている最中なのに、途中のステップを抜かして、最上階にたどり着くことだけを考えているようなものです。これでは、今取り組んでいる仕事も含めて、途中のステップをつまらないと感じるときが来るのでは?と心配になったんです。
だからまず、先のことは何も考えずに、目の前の仕事に思いっきり集中することを勧めたいと思いました。この本は、成功するための本ではないんです。こう働くと、今の仕事がこんなにおもしろくなるよ、ということを若手社員に伝えたいと書いたものです。思いっきり集中すると、ワーク・ライフ・バランスも、将来の成功も、考えていられませんからね。



