行き過ぎた「効率化」は実は「非効率」?
「××さんの仕事は、今の自分の仕事とまったく関係ないから、適当に話を切り上げよう」
「△△さんに顔を覚えてもらえたら、次はもっとすごい人を紹介してもらえるかも…」
「◎◎さん、毎年年賀状をくれるけど、こちらが発注する側だから返事はしなくていいや」
こんなふうに、自分にメリットがあるかないかを考えて、人への態度を変えていませんか?
そんなあなたの行動に警鐘を鳴らすのは、『成功しちゃう「人脈」はじつは公私混同ばかり』 (Nanaブックス)をはじめとする数々の著書で、行き過ぎた効率化に疑問を投げかけ、非効率のススメを説く、ビジネス作家の夏川 賀央(なつかわ がお)さんです。
こう聞くと、「そうか、一見非効率的に感じることのほうが、実は効率的なのか」という発想をしてしまうのが、効率化に慣れてしまった人間のさもしいところなのですが、とりあえずは夏川さんのお話を聞いて、「効率崇拝」を見直すきっかけを作ってみたいと思います。
長い目で見れば、実は非効率的でないかもしれない

――何もメリットがないのに、非効率的に仕事をするのは勇気がいることです。夏川さんご自身の経験から、非効率なことをしたらこんなにいいことがあった、という例があれば教えていただけませんか。
効率を求める人がしそうな質問ですね(笑)。たくさんありますよ。たとえば、私も出版社への転職経験があるのですが、転職先がすぐに決まらず、苦労しました。しかしそのおかげで、自分の適性ややりたいことについて、徹底的に考えることになりましたから、いい経験だったと思います。よく考えずにすぐ転職先が決まってしまったら、その転職先で新しい不満を見つけては、すぐに転職していたんじゃないでしょうか。
また、「出版社に転職するのに、そういえば自分は売れている本を読んだことがない。企画書を作ったこともない」と気づきまして、まだ編集者になれるわけでもないのにベストセラーを読み、誰に見せるでもないのに企画書を作ったんです。報われるかもわからないのに、非効率的な行動ですよね。
そうしたら、これは予期していなかったことなんですが、面接で企画書を見せるステップがあったんです。そして、「企画は1つも採用できないが、君はなにかできそうな可能性を感じるから」という理由で採用されました。
長い目で見れば、何が非効率で、何が効率的なのか、実はわからないんです。今の仕事に直接関係ないなど、一見非効率に見えることにチャレンジして、自分の視野を広げておけば、成功への可能性も広がるわけです。
――企画書の例は、採用にあたり、企画書が作れるかのスキルではなく、夏川さんの可能性が評価されたわけですね。



