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キケンな転職をしないよう、『転職は1億円損をする』の著者がナビするこのコーナー。就活の失敗を転職で挽回しようと勇んでいる方、いらっしゃいませんか? 本当に転職が就活のリベンジとなるのか。このコラムを読んで、ちょっと頭を冷やして考えてみてください。 【バックナンバーはこちら】



有名大手よりも知られざる優良企業で働く幸せ

 先に出した『転職は1億円損をする』よりも『就活のバカヤロー』の方が売れている石渡です。年末のお忙しい中、いかがお過ごしでしょうか?

 転職をお考えの方に話を聞くと、よく学生時代の就職活動、通称・就活のことが話題になります。曰く、学生時代は何も考えていなかったから、就活に失敗した。だから、転職ではリベンジしたい。そういえば、「リベンジ転職」という言葉も転職情報会社や雑誌の転職特集でよく見かけます。

 ところで「リベンジ」とは何を指すのでしょうか? 就活では、入れなかった大企業に転職することでしょうか。 

 しかし、大企業に入っても、そこで何がしたいのか、そして何ができるのか、それがはっきりしていないと、大きな仕事はできないでしょう。それに、大企業だから年収が高くて、将来性がある、と言えばそうとも言い切れません。

 たとえば、キーエンス。大阪本社の電子機器メーカーで一般の知名度はほぼゼロ。でも、社員の平均年収は1,300万円を超え、これは住友商事やテレビ局などと比肩する高年収です。

 IT・機械メーカーに勤務していれば、信越化学工業日本電産ローム村田製作所堀場製作所などを知っている方もいるはず。いずれも技術力が高く、社員の平均年収も高い企業ばかりです。しかし、一般の知名度は低い、と言わざるを得ません。

 おそらく、こうした企業に勤務していれば、転職を考えることはあっても、大企業に行きたいとする「リベンジ転職」は考えないでしょう。

「最高の復讐」は、転職で成し遂げられるのか?

 秋月りすさんのマンガ『OL進化論』に大企業への話が掲載されていました。

  それまでは時給の高さにこだわっていた女性の派遣社員が派遣会社に「大企業の案件は?」と聞く。派遣会社の営業担当は航空会社の仕事を回します。それは事務作業で時給も低かったのですが、この女性はその仕事を引き受けました。

 「今まで時給の高さにこだわっていたのに」と訝しがる営業担当。このオチは何か、と言えば自分の結婚式で「~航空会社にお勤めの才媛で~」と言われるため。

 「ウソじゃないもん」
とマンガには書かれていました。

 これもリベンジ転職の1つの形かもしれません。しかし、長く勤務する場合、「有名企業で低収入・単純作業」と「無名企業でも高収入・権限ある仕事」とどちらが幸せでしょうか? 私は長く勤めるのであれば後者の方がよっぽど幸せだと思います。

 アイルランドのことわざに

「Don't cry. Just revenge. But the best revenge is to live well. 」
(泣くな。復讐しろ。だけど、最高の復讐は最高の生き方をすることだ)

というものがあります。

 訳者によっては

 「復讐しろ、そして最高の復讐は幸せになることだ」

と訳すこともあります。

 確かに就活で失敗した方は悔しいことでしょう。しかし、大企業に転職することが本当に「最高の復讐」なのでしょうか。無名の企業であっても、特定業界から高く評価されている企業はたくさんあります。あるいは、無名の企業であっても、あなたの働き方・アイデア次第では大企業に成長するかもしれません。

 皆さんにとって、「最高の復讐」とは何か、この年末年始に是非、考えてみてください。






著者プロフィール
石渡 嶺司(イシワタリ レイジ)

1975年北海道札幌市生まれ。私立北嶺中・高等学校、代々木ゼミナールを経て東洋大学社会学部社会学科に入学。卒業後、派遣社員、無職、編集プロダクション勤務ののち、2003年にライターとして独立。以後、大学・教育問題や学生の就職活動などを中心に評論・執筆活動を行う。全国の大学を見学して回り、2008年現在、300校を超える。著書は『転職は1億円損をする』『最高学府はバカだらけ』のほかに、『進路図鑑2010 』(光文社ペーパーバックス)などがある。2008年11月に刊行の『就活のバカヤロー』(光文社新書)が10万部を超えたほか、過去の著作はすべて書き下ろし・黒字化していることが自慢。

「ライター石渡嶺司のブログ」

 






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