オンとオフの境目がなくなれば、効率は重視しなくなる

――夏川さんのご著書には、デキる人たちが、一見非効率的な仕事の仕方をしている例がよく出てきますよね。『なぜ、仕事ができる人は残業をしないのか?』(ソフトバンク クリエイティブ )では、「仕事」のとらえ方の違いだと表現されていました。
この本で書いたデキる人たちは、残業せずにさっさと帰って映画を見たり、本屋に行ったりしています。こうして情報を仕入れたり、仕事につながるアイディアを考えたりしているのです。これらは必ずしも仕事につながるわけではなく、会社から与えられた目の前の仕事が片付くわけでもないし、効率的か非効率的かで判断すれば、後者ですよね。しかし、ヒットする企画や新規事業は、たいていこうした人たちから生まれます。
彼らは、ここまでが仕事、ここからはプライベートといった、オンとオフの境目がありません。「仕事を自分のものにしている」といっていいでしょう。すると、公私混同ですから、効率を追求する必要がないのです。
――そうした仕事に対する発想の転換は、どうやったらできるでしょうか?
やはり、効率ばかりを追い求めず、非効率なことをやってみることだと思います。毎日の仕事をしていて、ちょっと面白そうだな、と思ったことを流さない。それまでの考え方では、仕事に活かせないものかもしれませんが、長い目で見れば、いずれ何かにつながるかもしれない。踏み出した1歩から、少しずつ広げていくんです。
通したいわがままを明確にし、通せる環境を作ると働きやすくなる
――ただ、仕事に一生懸命になりすぎていると、そういう「遊び」ができませんよね。残業せずに仕事を自分のものにしている「わがまま」な人たちは、どうやっているのでしょうか。
わがままな人たちも、ただ自由奔放にしているわけではありません。会議をサボったら翌朝は朝一番に出社する、服装を自由にするなら規則になっている掃除には参加するなど、わがままを通す環境を作っていくわけです。
すべて自分の思い通りにはなりません。相手に受け入れられるようなメリットを提供するわけです。たとえば、長時間の会議に参加するのも、朝一番に出社するのも、どちらも楽しいことではありませんよね。でも、どうしても会議を休んで映画に行きたいなら、折り合いをつけるために、翌朝一番に出社することです。優先順位をつけ、自分の「通したいわがまま」を明確にし、通せる環境を作っていくと、わがままを通して自由にやっているように見えるんですよ。



