ここはシリコンバレー? 転職で最高の環境を手に入れる
はじめての転職から約3年後、私はまた転職しました。2回目の転職先は、横浜にある設立間もない小さなソフトウェア開発会社です。主な事業内容は、Linuxなどのオープンソース技術を利用したネットワーク・システムの構築とコンサルティング。まだLinuxが普及するだいぶ前の話です。いまではもうめずらしくありませんが、当時はLinuxに注目する企業は数えるほどでした。私は、その会社に営業兼SEとして入社したのです。
その会社の一番の魅力は、最新のインターネット技術が学べる環境がそろっていたことです。特に、当時まだ一部の技術者の間で注目されはじめたばかりのLinuxを一から学べる環境があったことが、その会社を選んだ最大の理由でした。とはいっても、Linuxに関しては私もその会社に入社するまで、名前くらいは聞いたことがある程度の知識しか持っていませんでした。
でも、その会社の最初の面接で強烈な一撃を喰らったのです。その会社の社長は、Linuxが持っている大きな可能性を語ってくれました。米国ではすでに企業を中心にシェアを伸ばしているという話が、私の心をとらえて離さなかったのです。そして、日本でも米国と同じようにいずれ普及する時期がくるに違いない、と確信しました。
社長は、日本を代表する大手家電メーカー出身の技術者で、50代半ばくらい。その大手家電メーカーを辞めてから、米国のIT企業のボードメンバーとなり、そこをIPOさせた後、再び日本に戻ってきたというちょっと変わった経歴の持ち主でした。
米国のIT企業で働いていたときに、インターネット先進国の米国で一般企業の間にLinuxが急速に広まっていくのを目の当たりにし、日本でも近い将来普及するに違いないと思ったのが、会社設立のきっかけだということでした。
社長自身がエンジニアだったということもあり、技術を学ぶ環境としては、経験した7社のなかでもこの会社が一番でした。

まず、1人ひとりに広いデスクと個室が与えられました。天井まであるパーテーションで仕切られた、完全にプライバシーが守られた環境。おまけに開発用のPCも、Windows用とLinux用の2台。必要な書籍もほとんどそろっていました。仕事に没頭するという点では、最高の環境が整っていたのです。まさに、シリコンバレーのIT企業さながらのオフィス環境が再現されていました。



