10ヵ月で辞めたのは、恐怖の零細企業だったから
2回目の転職先の在籍期間は、わずか10ヵ月。結局1年ももちませんでした。これは、4回目の転職先と並んで最短記録です。苦労の末にやっと見つけた転職先。仕事に不満があったわけではありません。なぜなら、SEに戻るという希望がかなったのですから。
では、なぜ10ヵ月足らずで辞めることになったのでしょう。それは、2回目の転職先がベンチャー企業ではない、ただの零細企業だったからです。家族的と言えば聞こえは良いものの、社員数は社長を含めてたったの5人。しかも、そのうちの1人は総務・経理を担当する社長の奥さん。典型的な同族企業でした。そして、ふとしたことから零細企業で働く限界を感じてしまったのです。
決して、社員数や売上規模など、目に見える数値だけで零細企業と決め付けたわけではありません。私が考える零細企業とは、社長自らが自社の成長に必要な努力を放棄している会社です。たとえば、会社の成長に必要な具体的な行動を何一つ実行しない会社。投資とムダ使いの違いがわかっていない会社です。
2回目の転職先がまさにそうでした。営業活動に必要な投資をまったく認めてくれなかったのです。私が転職したのは、会社が立ち上がってまだ間もないころ。当然、お客さまはいません。売上と利益をあげるにも、まずお客さまを見つけなければなりません。でも、いくら会社案内や提供するサービスのパンフレットなどの営業ツールを作って欲しいと頼んでも、社長は認めてくれません。Webサイトを立ち上げ、そこにアクセスしてくるのを黙って待っているだけ。そんな状態が何日も続きました。
人への投資も同じです。社長とその奥さんを除けば、社員はわずか3人。これでは実際に仕事がきても、とても対応できません。最低でもあと2人、社員を採用してくれるよう頼みました。ところが、受注もしていない仕事のために無駄な人件費は支払えない、そう言うのです。
「話が違うな」そう感じました。

社長は面接で、近い将来のIPOを目指すという目標を熱く語ってくれました。そして、スターティングメンバーにはそれ相当のストックオプションを与えるので、給与は安くても我慢して欲しいとも言いました。その言葉を信じていたからこそ、何とかして会社を軌道に乗せたいと思い、安い給与でも我慢して働いていたのです。
でもこれは後でわかったことですが、そもそもその社長には、何としてもIPOしたいという強い気持ちなどありませんでした。本人は、米国ですでにIPOを経験済み。経済的には何一つ不自由ありません。運が良ければIPOしたいけど、無理はしない。IPOへの思いなど、その程度のものだったのです。



