自分の足で探した欧州雑貨を販売
グラフィックデザイナーの塚本太朗さんは、ヨーロッパ輸入雑貨の店「MARKTE」を営んでいる。古くからの問屋街、小伝馬町にあるレトロなビルの3階に「MARKTE」はある。深緑色のドアを開けると、塚本さんがヨーロッパで買い付けたカラフルでユニークな雑貨が並び、その部屋の片隅には、塚本さんとその仲間がデザインの仕事で使う机とパソコンが並んでいた。「雑貨屋さんの中に、デザイン事務所がある!」。新鮮な驚きと、不思議な居心地の良さを感じる空間だ。
学校卒業後、自分探しが始まった!
塚本さんは専門学校卒業後、「いろいろな仕事にトライして、どんな仕事が自分に合っているのかを知りたい」と、様々なアルバイトを経験した。靴屋、マクドナルド、日雇いの製本工、スキー場に2カ月住み込み……。資金を貯めると、ヨーロッパ、アメリカ、東南アジアをそれぞれ数カ月かけて貧乏旅行で回っていた。
本当にやりたいことを見つけたのは、1993年、20歳のときに訪れたイギリスだった。ロンドンにあったインテリアショップ「The Conran Shop」(以下、コンランショップ)に出会い、衝撃を受けたのだ。その頃、コンランショップはまだ日本に出店していなかった。
「当時の日本には、“衣食住”のうち、デザイン性のある洋服や食べ物の輸入品は多かったのですが、デザインの良い輸入インテリア商品を扱う店はあまりなかったのです。イギリスの家具、雑貨デザインの素晴らしさに驚きました。日本で目にしたことがないものばかりで、見るものすべてが衝撃的でした」
輸入家具、雑貨に触れながら、デザインを勉強
「働きながら、デザインに関する勉強がしたい。日本にコンランショップがオープンしたらいいのに……」と思っていた矢先、輸入家具、雑貨の専門店として「コンランショップ」が新宿にオープンすることを雑誌で知った。塚本さんがロンドンから帰ってすぐのことだ。塚本さんは早速、ロンドンでの感動とそこで働きたいという意思を伝え、コンランショップに採用された。
その後、コンランショップで通算8年間働き、家具のデザインや素材に触れ、勉強を重ねた。店員として販売業務を経験した後「商品に直接関わる仕事がしたい」と志願し、輸入家具の組み立て、お客さまの自宅に家具を配送する業務につき、さまざまな家のインテリアコーディネートの現場に立ち会った。倉庫で入荷した新商品をいち早くチェックできることも嬉しかったと言う。
そんな体験を経て、塚本さんはデザイナーとしての一歩を踏み出すことになる。


