喫茶店ができていく過程を見て、内装設計・施工の仕事に

ケーキ屋、パン屋専門の内装設計・施工会社、有限会社リブラ・デザインの中島武彦さん。10年勤務した設計・施工会社を辞め、独立して12年が経った。個人事業主で始め、有限会社を設立した後も、従業員を雇わず、ひとり起業を続けている。
中島さんが選んだ仕事スタイルは、オーナーと一緒に店舗を作るためにじっくり話し合い、誰かに任せず、すべての工程に自分自身がかかわること。内装には店舗オーナーの個性や雰囲気を活かし、「その人らしさ」を反映することを大切にしている。
中島さんが「内装の設計」という仕事の素晴らしさに気づいたのは、18歳のとき。きっかけは、大学への進学資金を貯めるためにアルバイトをしていたビデオレンタル店の前に、喫茶店ができたこと。それは、ある設計士が奥さんのために作った店だった。
工事中からずっと、喫茶店ができあがる過程を見ていた中島さん。「いろいろな人が次々と来て、店らしい形になっていくのが面白いと思いました」。できあがった喫茶店にコーヒーを飲みに行くうち、その店を作った設計士と仲良くなった。「お店を作ることは楽しい仕事。もし図面を描きたかったら、教えてあげるよ」と言われ、アルバイトの傍ら、1年間、図面描きを教わった。
「何もないところから、図面通りにできあがっていく、ものづくりの仕事は面白いなあと感じました。進学よりも、設計のほうが楽しくなってしまい、このまま教わるだけでなく、どこかの会社で仕事をするほうが、上達の近道ではないかと思うようになりました」
実務も免許もないため、21社目でようやく就職が決まる
設計事務所に就職するため、20件ほど電話をかけたが、実務経験もなく、自動車免許を持っていない中島さんは、断られ続けた。自動車免許がないと現場まで行けないので、仕事にならないのだ。やっと21件目に、「とりあえず、うちの会社においでよ。自動車免許を取るまで待っていてあげるから」と言ってくれた会社に就職することにした。
19歳のとき、その内装設計・施工会社に入社。従業員が十数人、ケーキ屋、パン屋などの内装と施工を手掛ける会社だった。「たまたま就職した会社だったのですが、そのまま10年働き、29歳で独立することになりました」



