基調対談に続いて行われたパネルディスカッションでは、「経営戦略としてのワーク・ライフ・バランス」と題し、企業の生産性向上や業務の品質向上といった視点からワーク・ライフ・バランスを推進する意義や効果についてディスカッションが行われた。
パネラーは企業経営者である佐々木常夫氏、企業におけるワーク・ライフ・バランスのコンサルティングを手がける小室淑恵氏、企業の人事担当マネージャーとしてワーク・ライフ・バランス実践の実務に携わる本山ふじか氏の3名が、各々の立場や経験に即して、さまざまなテーマについてディスカッションした。
◇パネリスト
- 佐々木常夫氏 株式会社東レ経営研究所 代表取締役社長
- 小室淑恵氏 株式会社 ワーク・ライフバランス 代表取締役社長
- 本山ふじか氏 住友商事株式会社 人事部 課長 労務チーム サブリーダー
重要な戦略として注目を浴びるワーク・ライフ・バランス

佐々木 ワーク・ライフ・バランスには、大きく3つの効用があります。まず、(ワーク・ライフ・バランスの実現で)社員が元気に、頑張る気持ちになる。次に、限られた時間内で必ず生産性が向上する。そしてその結果、会社の評判が上がって、よい人材がやってくる。また、よい人材が辞めなくなるといった好循環が生まれます。
小室 最近、企業がワーク・ライフ・バランスに本気を出しているのには、時代的な理由も大きくあります。具体的には2007年問題=団塊世代の大量退職がありました。一方では、少子化による新卒の減少があり、さらにその新卒就職者の離職率が3割にもおよぶ。
つまり優秀な人材がどんどんいなくなっていく中で、オカネをかけずによい人材を引きつけ、かつ定着させる上で、ワーク・ライフ・バランスは経営戦略として有効だということに企業が気づいたのです。福利厚生から経営戦略へと、企業の側の視点が変わりつつあるのですね。
もう1つの時代の要請は、介護の問題です。いわゆる団塊ジュニア世代は30~40代で独身、ひとりっ子が多く、近い将来に両親の介護が直撃してきます。そうなれば今までのように気軽に残業をさせるわけにいかなくなります。そうした意味でも、いかに仕事と生活の時間のやりくりをうまくやっていくか。ワーク・ライフ・バランスは、企業にとって、これからの重要テーマになっているのです。(次ページへ続く)


