日本とフランス、仕事に対する考え方の違い
私の夫はフランス人なのですが、時々、日本の「不可解なところ」を指摘されることがあります。
たとえば、日本人はなぜか、自分がいかに多忙か、いかに睡眠時間が少ないかを競い合うようなところがあること。「このところ忙しくて、ほとんど寝てないんです」、「僕も2時間寝られたらマシなほうですよ」……確かに、そんなやり取りがあちこちで聞かれます。
逆に、「“仕事が暇だから”有給休暇使って旅行してきましたー」なんて堂々といおうものなら、白い目で見られたりします。どこか仕事量が多いほうが偉くて、仕事量が少ないのはレベルが低いように思われている──それがフランス人から見ると、不思議で仕方ないのだそうです。
フランスでは、ガツガツ仕事をするよりも、しっかり休みを取って旅行に出かけるような人のほうが「偉い」、というと語弊がありますが、少なくとも「豊か」とされていると感じます。休みも取れず、睡眠時間を削ってまで毎日遅くまで仕事をしている人は、偉いどころか「仕事を自分でコントロールできないの?」と非難されてしまうこともあるようです。

「なぜ仕事をするのか?」をあらためて考える
ガツガツ仕事をすることが決して悪いわけではありませんが、「仕事量が多いほうが偉い」という考え方や「寝てない競争」は、確かに不可解と思われても仕方ないでしょう。それではまるで「仕事をたくさんすること」が目的のようで、そもそも「なぜ仕事をするのか?」がわかりません。
特に、日本人の「不可解なところ」が自分にもあると思われる方(私はあります……)は、「なぜ仕事をするのか?」をじっくり考えてみましょう。
そのためには、たとえば「なぜ仕事をするの?」→「仕事をがんばらないと、給料が上がらないから」で終わるのではなく、「なぜ給料が上がらないといけないの?」→「給料が上がらないと、子どもの教育費も出せないから」→「なぜ子どもの教育費が出せないといけないの?」……といったように、「なぜ?」を繰り返してください。
「なぜ?」に答え続けていくと、次第に「なぜ仕事をするのか?」は、「自分はなんのために生きているのか?」という人生の目的につながっていきます。そして究極的には、それは1つの答えに集約されるのです。
その答えとは、「幸せになりたいから」。心理学の領域で、1998年から注目されている「ポジティブ心理学」という学問があります。この「ポジティブ心理学」を、ハーバード大学で講義されているタル・ベン・シャハー教授は、原著『HAPPIER』において、『「なぜ?」を突き詰めていきながら、最後にもしも「だって、幸せになりたいから」という答えが出たら、もはやそれ以上の「なぜ」は不可能になる』と述べています。幸せになることは、人間の持つもっとも本質的な欲求であるから、と。
ちなみにポジティブ心理学とは、鬱病などに代表されるマイナスの心理状態を対象とした従来の心理学とは異なり、「人間はどうすれば幸せになれるのか?」を理論的に研究する心理学の1分野。アメリカでその研究が盛んに行われています。


