敗者復活からのチャンピオン、サンドウィッチマン
漫才の頂点を決める大会、M-1グランプリ。島田紳助が中心となって設立された大会で、毎年4000組以上のコンビが「漫才日本一」の称号を求めて火花を散らす。生放送される決勝戦は視聴率20%を超え、審査員は島田紳助、松本人志、中田カウス、オール巨人、大竹まことなどそうそうたる面々。若手コンビにとっては、そういった大御所の前で漫才ができるだけでも大変な栄誉だ。
そのうえ優勝者には日本一の栄光と、M-1特需ともいうべき仕事のオファーが嵐のようにもたらされ、文字どおりさまざまなテレビ番組にひっぱりだこになる。M-1後は、優勝コンビの顔をテレビで見ない日はないというくらい脚光を浴び、一気にブレイクするのだ。若手コンビにとって輝かしい最高の栄誉ある賞だ。
2007年、そんなM-1グランプリに奇跡が起きた。準決勝敗退となった者たちで争う敗者復活戦。そこで勝ち抜いたたった一組だけが、決勝へと勝ち上がる切符を手にする。この年、敗者復活を果たしたのは『サンドウィッチマン』。彼らは当時、テレビタレントとしては限りなく無名に近い、小さな事務所に所属するコンビだった。

そんなコンビが、敗者復活戦から勝ち上がるだけでも賞賛に値することであるのに、彼らはそれにとどまらなかった。なんとなみいる強豪を抑えて優勝を手にしたのだ。「敗者復活からの優勝はない」と島田紳助もかねてより断言していたのにである。その姿はまぶしく、見る者に大きな勇気と感動とを与えた。
今回登場するのは、そんなサンドウィッチマンの2人、伊達みきお(写真左)と富澤たけし(写真右)だ。彼らはどうして敗者からのリベンジを果たすことができたのか。挫折、スランプ、解散や自殺の危機……売れない下積み時代をどう耐え抜いてきたのか。彼らの半生を通して、CAREERzine読者にも自らの生き方を見つめ直していただければ幸いである。
同じような体格の2人、ラグビー部の先輩にかわいがられる
――お2人の出会いは?
富澤 地元仙台の高校のラグビー部で出会いました。第一印象は目のかわいいやつがいるな、と。
伊達 僕は同じような体格のやつがいるな、ポジション争いかな、なんて思ってましたね。そのラグビー部の連中が、とにっかくおもしろくて。
富澤 伊達がムードメーカーでもあったし、何より先輩たちがおもしろかったですね。すごく偉大で、先輩たちが引退したあとはなんだかさびしかったくらい。
――どんなふうにおもしろかったんですか?
伊達 軽いいじめみたいなものなんですけど、おかしいくらいのおもしろさだったんですよね。
富澤 とらえ方の問題で、それを僕らがつらいってとらえてたらいじめになるんですけど、そうはとらえなかったんですね。
先輩からなんかきついことや変なことをやれなんて言われても、「だんだんやりたくなってきました」とか「あぁやっとそれ言ってもらえましたね」とか(笑)冗談で返す。それで先輩が笑ってくれたら、俺たちも勝った、みたいな。おもしろくすれば場が丸くおさまる。そんなふうにして先輩たちにいじられていた2人でした。
伊達 怖い先輩なんですけど、俺たち2人だけ結婚式に呼ばれたり、いまもサンドウィッチマンのライブを見にきてくれたり。富澤との出会いよりデカかったかもしれないですね。(次ページへ続く)



