新刊『進路図鑑2010』(光文社)を出して、書店営業にいそしむ石渡です。合間にWBCを見ていたら、危うくこの「転職難民に落ちるな!」原稿を落とすところでした。WBC連覇を記念して、今回はプロ野球選手の話を。
華やかに見える野球選手の苦悩「トレード」
一般の社会人と違い、プロ野球選手は終身雇用ではありません。多くの選手は単年契約、有名選手のごく一部は複数年契約ですが、それも将来を保障するものではありません。
そして、プロ野球選手に常につきまとうのがトレードです。トレードとは、プロ野球球団に所属する選手が他のチームに移籍することです。選手の意思よりも、球団や監督のチーム構想などに左右されます。
そのため、チームを愛して骨を埋める気だったのにトレードされた、という例もめずらしくありません。不本意なトレードが移籍先で活躍したり、環境が変わって活躍できなかった、ということも。
そうしたトレードのドラマをまとめた本が『『プロ野球トレード光と陰』 (近藤唯之著/新潮文庫) です。1991年刊行なので、おそらく一般書店では販売していないでしょう。アマゾンでは中古価格で買える模様。
刊行年が古いこともあって、エピソードに登場する人選も相当古いです。26組登場しますが、一番古いトレードのエピソードは1960年。選手名も金田正一、張本勲、江夏豊、野村克也など絶妙な古さです。新しい方でも落合博満ですからねえ…。おそらく、ややディープなプロ野球ファンでないとついて行けないかもしれません。
それでも、この本をお勧めするのは理由があります。単にトレードした、された、だけではありません。トレード選手の人生がどう変わっていったか、人情の機微も描いているからです。(次ページへ続く)



