職場の人間関係というのは実に重要で、しかもやっかいだ。ある調査では、会社を辞めた人の4割近くが上司や先輩、同僚との人間関係を理由に挙げている。とはいえ「イヤだから辞める」では、いつまでたっても自分のキャリアを育てることなどできない。「居心地の悪い職場なら自分で良くしよう!」くらいのポジティブさが欲しいところだ。
そこで、ここでは2回にわたって、『ギスギスした職場はなぜ変わらないのか』(Nanaブックス)の著者で、会社組織・風土の改善に取り組んでいるコンサルタントの手塚利男氏に、なぜ多くの職場は人間関係がうまくいっていないのか、その理由や1人でも始められる職場の人間関係改善テクニックをうかがった。
「効率最優先」に疑問を持ち、組織の風土改革の研究に転じる

「私が職場の風土改革について考えるようになったのは、1990年頃のこと。当時在職していたいすゞ自動車で、生産方式の研究・構築に携わっていたときでした。“カンバン方式”で知られるトヨタの生産方式をモデルに、いすゞ自動車にも社内独自の生産方式を創り出そうとしていたのです。
しかし、この方式はどうしても生産効率や数字面での向上という部分に目が向きがちで、社員もプレッシャーを感じることが少なくありません。またそうした効率を追求するあまり、職場のコミュニケーションや助け合いといった、人間関係が希薄になるといったマイナス面もあるとわかってきたのです」
生産効率だけでなく人間関係を円滑にするために、組織の風土そのものを変えていこうと考えた手塚氏は、みずから手を挙げて、「全社風土改革活動支援」担当者に就任する。
「いすゞ自動車というのは非常に自由な社風で、何かをやりたい人間がいれば自由にやらせてくれるところがありました。そこで、同じ関心を持つ先輩と2人で、風土改革をしようとする多くの仲間の支援活動を始めました。ここで “ブラブラ社員”として現場から会長室、社長室まで自由に出入りを許されて、多くの階層の社員と対話しながら問題点を探すというのを、足かけ7年やっていました」
その後は、総務の責任者や子会社の役員などを歴任しながら、一貫して風土改革のテーマに取り組み続け、2001年にコンサルタントに転身、現在にいたっているという。(次ページへ続く)


