人間関係のストレス要因は2つ、「べき思考」か「思い込み」
仕事に限らず、私たちが他人との関係で悩んだり、ストレスを感じたりするのはどんなときか、考えてみましょう。さまざまなパターンがあると思いますが、特に多いのが次の2つではないでしょうか。
1つは、他人が自分の思い通りに動いてくれないことに対してイライラしてしまうというケース。そしてもう1つが、自分は他人にどう思われているのかを必要以上に気にするケース。前者は自わから他人、後者は他人から自分と方向は逆ですが、どちらも根本的な原因は「他人」ではなく「自分」にあることが多いのです。
「あの人は、なんで〇〇しないのだろう」というストレスの根底にあるのは、「べき思考」という非論理的な思考。「あの人は〇〇するべきだ」という思いが強いので、他人がそうしないことに対してイライラするわけです。つまり、自分の価値観という「色眼鏡」をかけて他人を見ていることになります。
また、「自分はどう見られているのか」を気にし過ぎると、「この人は自分をこう思っているに違いない」という非論理的な「思い込み」が強くなり、萎縮してしまいます。こちらは、自分の想像に過ぎない「色眼鏡」を勝手に他人にかけているようなものでしょう。
人間関係の悩みの多くは、この「べき思考」や「思い込み」から生まれます。まずは、このような「色眼鏡」を外すことが大切。「変えられない他人」に悩むよりも、他人に対する非論理的な「自分の考え方」に気づき、それを変える努力をしてみましょう。(努力するのが難しい状態の人は、まず「コーピング」から)
嫌いな人がいるなら、「なぜ嫌いか」を書き出そう
会社には、いろいろな人がいます。自分とは価値観の合わない人や、どうしても苦手な人がいる場合もあるでしょう。それ自体は仕方のないこと。ただ、「この人は自分とは合わないから……」と早々に見切りをつけて、そのような人とのコミュニケーションを避けるようになってしまうケースがあまりにも多過ぎるように思います。
そもそも、なぜ自分はその人が嫌いなのか、その理由がわかっていない人も少なくありません。「なんとなく嫌い」というのは一番もったいないし、それでは本当の意味で見切りをつけることもできないはず。まず、「なぜ嫌いなのか?」をじっくりと自己内省して、嫌いな人の嫌いなところをリストアップしてみましょう。そして、嫌いな理由がわかったら、それが自分の「べき思考」や「思い込み」によるものではないか、「色眼鏡」を外して考えてみてください。

ほとんどの場合、上のような整理をすると、嫌いな理由は、自分の勝手な思いこみのせい、ということが多いものです。また、仕事がらみではなく、私的なおつきあいで、「なんとなく嫌い」な人であれば、べつに会わなければいいわけで、何か「損害」になることはない場合が多いですよね。しかし、困るのは、「自分が勝手にでもなんでも嫌いな人」と仕事を一緒にやっていかなければならないとき。つまり、自分が好き嫌いなどという未熟なことを言っている場合ではないときです。こんな場合はどうするか。
嫌いな人とのぶっちゃけトークは、主語を自分に
嫌いだからといって、適当に無視できない相手を「嫌いに思ってしまった」ら。私の場合は、その相手に対して「現状ぶっちゃけトーク」をします。たとえば、その人のだらしないところがイヤだなーと思っているのだとすれば、その「だらしないことが原因で良くない結果が生じていると私が感じること」の説明を、結果フォーカスにして話してみたりします。
「〇〇さん、なんか私たちのコミュニケーションは、最近やりとりが非効率的な状態になっていると私は思うのですが、〇〇さんはどのように感じていらっしゃいますか? 私はおそらくせっかちなことがいけないのだと思いますが、私が質問しているメールに対して、〇〇さんの返答メールが遅いと、なんだか非効率的だなあ、これでは、プロジェクトが期日までに終わらないのではないか、と焦ってしまうのですが、いかがでしょうか」などなど。
このときに注意しなければいけないのは、「事実」が何かを間違えないこと。事実は、「自分が勝手に相手をだらしないと思っている」だけで、だらしないが事実ではなく、事実は、「自分がプロジェクトを期日までに終わらせたいのに返信が来ないと、時間の無駄になると感じてしまい、自分は、その返信の遅い相手を、『もーだらしないんだから!』と思っている」ですね。ですから、「あなたはだらしない」というのは、事実ではありません。(ややこしい!)
ですから、起きている現状を説明し、そして、「私は〇〇だと思うのですが、あなたはそれについてどう思いますか?」と、自分を主語にして話すことが大事です。実際、私もそのようにしています。最初はとても勇気の要ることですが、そうするようになってから、より相手にスムーズに自分の思っていることが伝わるような気がしています。(次ページへ続く)


