検索エンジンをフォローする、検索テクニックを磨け

技術の進歩により、ビジネスパーソンの負担は軽減した。それは同時に、日々の糧を得るだけの価値があるとされていたスキルが、まったく役に立たないものになる、という現実をももたらした。知的作業も例外ではない。
自らの持つ能力のすべてが、技術に代用されてしまうかのような不安を覚える昨今、ビジネスパーソンが磨くべきスキルとはどのようなものだろうか。
「現在の検索エンジンは、言葉や文章の形式的な構造(シンタックス)をもとに判断するだけで、要求の意味(セマンティックス)までを理解できていません。AI(人工知能)の研究などが続いていますが、おそらく私たちが生きている内には、検索者が要求する『意味』までを類推してくれる技術は出てこないだろうと考えています。
だからこそ、検索キーワードを工夫するといった検索のテクニックが必要になってきます。今度の著書では、複数の検索後を用いた『and検索』などの細かい検索技術を解説しているので、関心のある方はぜひ参照していただきたいと思います」
検索力は必要条件、デキる人になるには「考え抜け」
検索力の重要性を説く一方、それだけでいわゆる「デキる人」の資格を得られるわけでもないと、野口氏は指摘する。
「検索力は仕事がデキる人の必要条件ではありますが、十分条件ではありません。むしろ検索した結果をどう使いこなすかが、分かれ目になります。検索エンジンが進歩した今、ネットワークから情報を探し出すのはそう難しいことではありません。それよりも、あふれかえる情報をどこでカットするのか、つまり、不要な情報をいかに遮断するかの方が切実な問題ですね。
情報を選択するには、自分が必要としているものを理解していることが大前提にとなります。それには、知的作業のプロセスをきちんと経て、じっくりと考え抜くことが不可欠です。ITを使えば何かラクに近道ができるのではと期待する人もいますが、小手先のテクニックを弄するだけでは、たいしたことはできません」
まさに、自分のアタマ1つで挑む勝負になるのだろう。なかなか険しい道であることは予測できるうえ、日本はそうした能力を磨くのに、あまり適した土壌ではないようだ。野口氏は次のように警鐘を鳴らす。
「現在の日本では、そうした能力を持っているとしても、それがふさわしい評価を得られるようになっていません。一見知的レベルの高い職場と思われている金融機関や大学、新聞社といった業界も、知的労働者への評価・待遇という点でははなはだしく遅れていると言わざるを得ません。
年功序列の大組織の中で、若い知的労働者は搾取されています。彼らが潜在力を発揮できないため、日本企業の従業員1人当たりの時価総額は、アメリカの先進的企業に比べて著しく低い水準にとどまっています」(次ページへ続く)


