自筆のメモでも証拠としては有効 働いた記録は確実にとっておく

働く人にとってもっとも身近で切実な悩みの1つが、「給料がちゃんと支払われない」「残業代を払ってくれない」といった問題だ。少し前までは、大手企業でも会社によってはサービス残業は当たり前だった。だが笹山氏は、「いずれにしても賃金に関する問題は、できるだけ詳しく記録をとっておくことが有効」とアドバイスする。
「自分の働いた分の給与を証明するのは、タイムカードがあればベストです。手元にカードの写しが残せない場合は、携帯電話のカメラでタイムカードを撮っておき、それを証拠に法的交渉を行った例もあります。それも難しければ、自分でメモを取っておきましょう」
自筆のメモも、証拠としては十分に有効なのだという。しかも、できるだけ詳しく書いておくのがよい。
「手帳に出退勤の時刻をつけておくだけでもよいのですが、他にも仕事の締切や行動予定といった、時刻以外に状況を裏付けられることがらも書き留めておけば、信頼性がさらに上がります。なお、就業規則上で休憩時間になっている時間については、裁判所は休憩したとみなしがちです。休憩時間に働いた場合は、作業の内容や場所、時間までをとくに具体的に記録しておきましょう」
就業規則の変更なしに給料は下げられない 根拠を聞き出せ
「不景気だから」「業績が悪いので」と、一方的に給料を下げられる例もあちこちで聞かれるが、これにはどう対応したらよいのだろう?
「就業規則の変更がなく行われた給与の引き下げは無効です。引き下げを言い渡されたらまず根拠を確かめましょう。どういう理由や根拠で下げるのか、使用者に説明を求めます。できれば口頭ではなく文書で確かめるのが確実です。引き下げの通知や回覧などがあったときは、コピーをとっておきましょう」
「君は仕事ができないから」と、責任をこちらに転嫁するようなケースも多い。その場合は、相手が何を根拠に主張しているのかを記録しておこう。法的に争うことになった場合の証拠になるからだ。
「口頭や電話での会話なら、録音しておきます。録音しているのが相手にわかると本音を言わないなら、ポケットにレコーダーを忍ばせておくのもいいでしょう。こうした場合に相手の承諾は必要ありませんし、証拠としても有効です。録音ができないときは、当日のやりとりをメモしておくこと。そして、まとめた内容を内容証明郵便で相手に送り、郵便局で確定日付をとっておく。また、メールでも送信日時は残ります」
ただし、給与引き下げの承諾書に気軽にサインするのは要注意だ。一度サインしてしまうと、後で争う際に、たいへん不利になる。(次ページへ続く)



