このエントリーをはてなブックマークに追加




 ルーティンワークばかりの代わり映えのない毎日が続くと、心機一転、人生をリセットして、「今とはまったく違う仕事がしてみたい」なんて妄想をしたりしませんか? 小学生が将来の夢に書くような仕事への転職は、社会人となった今からでも可能なのか、読者の皆さんに代わり石渡さんが真剣にインタビューします。今回のテーマは「漫画家」です。【バックナンバーはこちら】



人生をリセットして、漫画家を目指してみますか?

 皆さんこんにちは、石渡です。今回は少し趣向を変えまして、わりと難しそうだけれど、100%ないわけではない、夢の仕事への転職を考えるヒントを提示したいと思います。今回取り上げる夢の仕事は「漫画家」です。

 漫画と言えば同じ出版業界なのに、当たれば大きいのは書籍以上。私は絵心がまったくないのでダメですが、多少でも描ける人は検討する価値があるかもしれません。いや、絵が描けなくてもですよ。ネタを持っていれば漫画の原作者という手も…。いかんいかん、私の個人的な転職話になってしまいました。

 さてこの企画、思いついたはいいが誰に話を聞いたものか…と探していたところ、見つけました。アシスタントの日常を描く漫画ブログ「あしめし」の作者・葛西りいちさん。2009年3月にはブログをまとめた単行本『あしめし』も出たということで、小学館の担当編集者Kさんにもご登場いただきます。

 漫画家になる前段階としてアシスタントという仕事があることは結構知られています。しかし、その割にアシスタントの世界を描いた漫画はそれほど多くありません。原秀則さんの『いつでも夢を』(1~6巻)くらいでしょうか。ただ、中篇で終盤まで暗い話が多いあたり、好き嫌いが分かれそうです。人気漫画家に対する扱いなど出版業界のネガティブな話も結構ありますし。

 その点、『あしめし』はエッセイ漫画なのでさっと読めます。アシスタントの苦労話も出てきますが、うんざりするほど重くありません。漫画が好きな人なら間違いなく楽しめる作品です。

 果たして、社会人から漫画業界への転職は可能なのか。赤裸々な事情を語ってもらいます。

専門学校に行くより、アシスタントになって現場で学べ

石渡:まず、葛西さんがアシスタントになったきっかけを教えてください。

葛西:漫画の専門学校を卒業した後、いくつかの編集部に持ち込み(※)をしました。その1つがビッグコミックスピリッツ編集部です。そのとき、対応してくれたのが今の担当編集者Kさんでした。持ち込み作品は賞を貰えたのですが、その後、Kさんに「この絵ではデビューにほど遠い。修行が必要だ」と言われて始めました。

※持ち込み…新人漫画家や漫画家志望者が自分の作品を漫画雑誌編集部に直接持ち込み、編集者からの評価を得ること。メジャー雑誌を含め、ほぼすべての漫画雑誌が新人に対して門戸を開放している。持ち込みからすぐデビューできる例は少ない。ただ、直接評価を貰えることや、力量次第ではアシスタントの紹介など編集部との接点ができる。新人にとってはメリットが大きいため、持ち込みはめずらしい話ではない。

担当K:漫画家になるルートはいくつかあります。その中でも一番多いのはアシスタント経由ですし、漫画編集者の多くは「アシスタントをやってみない?」と新人には勧めるようにします。

石渡:それはどうしてでしょうか?

担当K:2つあります。1つは商品作りのプロセスを学ぶこと。次に集団作業の経験です。漫画も商業誌となると商品なので、そのプロセスはどのようなものか、知っておく必要があります。それに連載を持つようになると、1人ではできません。何人もアシスタントを抱えないと仕事が回らないので、集団作業がどのようなものか、知っておく必要があります。

石渡:葛西さんは専門学校のご出身です。『あしめし』の中では編集者によっては専門学校に否定的な見解もある、というページがありました。葛西さんは「私は自信を持って『漫画の専門出ています』と言えます」と書かれています。その違いが興味深かったです。

担当K:漫画を描く技術がなければ、そういった学校に行く意味はあるかもしれません。しかしそれよりは、むしろアシスタントという現場で学んだ方がいいと考える編集者は多いでしょう。

葛西:私の場合はまったく描けない状態を何とか描けるレベルに引き上げてもらったので感謝しています。Kさんと同じで、まったく描けない人なら学校へ行く価値はあります。「こんなにうまいのになんで来ているの?」という人もいましたし、社会人も見かけました。高卒で入った高卒組に比べ、社会人組は授業もちゃんと出るし、アシスタント探しや持ち込みなども熱心だったことを覚えています。(次ページへ続く)


 
1 2
→

INDEX
「アシでメシが食えんのか」の葛西さんに聞く! 社会人は漫画家になれんのか(前編)
人生をリセットして、漫画家を目指してみますか?

専門学校に行くより、アシスタントになって現場で学べ

独立を目指すより、アシスタントで満足する人のほうがやや多い

現職のフラストレーション発散の場として、ブログを使うな




著者プロフィール
石渡 嶺司(イシワタリ レイジ)

1975年北海道札幌市生まれ。私立北嶺中・高等学校、代々木ゼミナールを経て東洋大学社会学部社会学科に入学。卒業後、派遣社員、無職、編集プロダクション勤務ののち、2003年にライターとして独立。以後、大学・教育問題や学生の就職活動などを中心に評論・執筆活動を行う。全国の大学を見学して回り、2008年現在、300校を超える。著書は『転職は1億円損をする』『最高学府はバカだらけ』のほかに、『進路図鑑2010 』(光文社ペーパーバックス)などがある。2008年11月に刊行の『就活のバカヤロー』(光文社新書)が10万部を超えたほか、過去の著作はすべて書き下ろし・黒字化していることが自慢。

「ライター石渡嶺司のブログ」

 






スポンサーサイト

年収1000万円へのエグゼクティブ転職
職種
業種
フリーワード

職種
フリーワード

タグクラウド



ページトップへ
ページトップへ