マグロ船に乗って人生を大きく変えた男、齊藤正明さん登場!

CREEAzine読者の皆さんは、「マグロ船」と聞くと、どういったイメージを浮かべるだろうか。一昔前の「借金のカタに無理矢理乗せられる」というのはまだしも、船倉に押し込まれた厳しい職場、荒々しい男の集まる職場で、暴力沙汰も日常茶飯事…。そういったネガティブな印象を持っていないだろうか。
今回紹介するのは、業務命令でマグロ船に乗り、43日間の航海を経験した、ひとりの男性、『会社人生で必要な知識はすべてマグロ船で学んだ』(毎日コミュニケーションズ)の著者である、齊藤正明さんだ。現在は、職場の会議活性化のための研修を中心に行う「ネクストスタンダード」を設立、講師として活躍しているが、前職はバイオ系企業の研究員。マグロ船のためにマグロの「鮮度保持剤」の開発に携わっていた。
「船に乗るきっかけは、入社から1年後の2001年6月のこと。なかなか進まない鮮度保持剤の開発に業を煮やしたのか、単に部下をしごきたかったか(笑)、上司から『マグロのすべてを知るためにマグロ船に乗って来い』という業務命令が下ったんです。当然ながら、マグロ船に乗ることと鮮度保持剤の開発がどう関係するか理解できなかったんですが、気弱な私はそれを断ることができず、泣く泣く船に乗ることになりました」(齊藤さん、以下同)
当時、齊藤さんのマグロ船に対するイメージは、「荒々しくダークな職場」といったもの。消極的な自分には向いていないと感じたという。ところが、上司の命令には逆らえない悲しい性。しかも齊藤さんが勤めていたのは、トップダウンが当たり前の体育会系の職場で、「仕方なく」というのが本音だった。
ところが、マグロ船に乗った経験は、齊藤さんのその後のキャリアを大きく変えることになる。
「というのも、実際に船に乗ったら、私のイメージとは正反対。船のオーナーである親方、そして船長や漁師の皆さんは、仕事には厳しくも思いやりのある方たちばかりで。漁船という閉ざされた空間で快適に暮らし、働けるよう、円滑にコミュニケーションを図っていました。また、彼らの仕事観は私にはないものばかりで、それにも深い感銘を受けました」
齊藤さんは船から降りた後、この経験を活かして、閉鎖的であった社内の業務プロセスにメスを入れることに着手。トップダウンから、「みんなで話し合う」スタイルの会議、ミーティング作りに奔走する。その効果は想像以上で、次第に外部からもオファーが殺到。一時は週末起業的に研修を行っていたが、2007年にはネクストスタンダードを設立。独立を果たす。当然ながら、マグロ船に乗っていなければ、こういったキャリアの変遷はなかっただろう。(次ページへ続く)



