会社選びの前に、自分が向いている組織のタイプを見極めよ
零細企業から大企業まで、いろんな規模の会社で働いてきました。もっとも小さいのが、2回目の転職先のLinux を扱うシステム開発会社で、社員5人、売上高数百万円。もっとも大きいのが、5回目の転職先の大手SIer で、社員約8,000人、売上高約8,000億円です。
そして、いま(注:執筆当時)勤めている会社は設立間もない典型的なベンチャー企業。結局、大企業の典型とも言える大手SIer を辞めて、ベンチャー企業へ舞い戻ったことになります。ベンチャー企業に嫌気がさして辞めたはずなのになぜ、きっとそう思われることでしょう。
いまの会社への転職を決意した一番の理由は、大手SIer で3年近く働いてみて、大企業という組織がいかに自分に向いていないかがわかったからです。「そんなこと、転職する前にわからなかったのか?」という声が聞こえてきそうですね。
そうです、わからなかったのです。転職する前は、「自分は大きな組織でも問題なくやっていける」と簡単に考えていました。ベンチャー企業であろうが大企業であろうが、自分はどちらの組織でも対応できる人間だと思い込んでいたのです。
でも、結局はそれが誤解だということに気がつきました。大企業という組織が、いかに自分に向いていないかということがわかったのです。向いていない組織で働いているとストレスを感じるだけ。働いていて楽しくありません。もちろん我慢すれば働き続けられるでしょう。あとは、我慢し続けることにどれだけの価値があるかです。
一方、いま勤めている会社は間違いなく自分に向いています。なぜなら、働いていてストレスをまったく感じないからです。むしろ、働いていて毎日が楽しくてしかたがない。
ここで誤解を解いておきましょう。楽しいからと言って、いまの仕事が楽なわけではありません。仕事は責任あるものに変わり、部下の人数も増えました。前に勤めていた大手SIer と違って、組織が成熟していないため、いろいろな揉め事や衝突も日常茶飯事です。
それに、いまの会社の方が忙しいこともあり、肉体的には疲れているはずです。受けるプレッシャーも、当然前の会社以上。でも、精神的には健康です。だからこそ、いまの組織の方が自分に向いていると、自信を持って言えるのです。
実は、自分に向いている組織で働くのは、転職する上でもとても重要なことです。一般に、転職イコール会社選びと捉えられがちですが、その前に考えておかなければならない大事なことがあります。それは、自分に向いているのがどんなタイプの組織なのかを、時間をかけて事前に考えておくことです。

たとえば、大企業とベンチャー企業で比較した場合、どちらの組織が自分に向いているか、どちらの組織で働くのが楽しいと感じられるかを、会社を選ぶ前に考えておくのです。
では、なぜわざわざ時間をかけてまでして組織を選ぶ必要があるのでしょう。それは、あらゆるタイプの組織に向いている人間など存在しないからです。ほとんどの人間は、自分を組織の規模などに依存しない、どちらの組織でも対応できる人間だと誤解しています。
でもそれは誤解です。どちらの組織でも対応できる人間など、本当にごく一部に過ぎません。たとえば、ベンチャー企業で実績を残した人間が、大企業でも同じように実績が残せるかといえば、そうとは限りません。反対に、大企業で実績を残した人間が、ベンチャー企業でも実績を残せるかといえば、同じようにそれもそうとは限らないのです。(次ページへ続く)



