「ウチの会社はとても帰れない」はあなたの思い込みかもしれない

駒崎氏が代表理事を務めるNPO法人フローレンスでは、代表の駒崎氏をはじめマネージャーが率先して、定時出社・退社の勤務を実践しているという。だが、もちろん最初からそうだったわけではない。むしろ、立ち上げ当初は事業を軌道に乗せるため、それこそ1秒も惜しんで仕事に没頭していたという。
「きっかけは、ある女性職員の退職でした。非常に優秀な若手だったのですが、毎日残業で帰宅が遅くなり、家事がおろそかになるのを夫が嫌がるのが理由だと言うんです。最初は、妻を専業主婦にしたがるなんて、なんてくだらない男だと怒っていました。しかし、ふと、自分も結婚したら同じように妻に家事を押しつけたり束縛するんじゃないかと気づき、急に恐ろしくなってきたんです」
そう気づいた駒崎氏は、さっそく定時退社を実行。さらに会議の効率化やメールの定型化による処理能率アップ、業務のマニュアル化とノウハウの共有システムの整備など、さまざまなアイディアを次々と実行して現在の勤務体制を作り上げたという。
だが、駒崎氏の場合は経営者という立場もあり、変革を自分でリードすることができた。会社務めの身である若手ビジネスパーソンが、自分でも定時退社を実現するために、何かヒントをもらえないだろうか。
「実行に踏み切る前に、まず自分の意識をはっきり変えましょう。『早く帰りたい』といいながら、残業しないと評価が下がると思い込んでいる人が少なくありません。果たして、本当に成果を上げている部下を、定時に帰るからという理由で怒れる上司がいるでしょうか。『ウチの会社は帰れないんだ』とネガティブになる前に、『本当に帰れないのか』を自分の中で問い直してみることが第一歩だと思います」
では、マネージャーなど、部下を持つ人たちには、どのような心がけが必要だろうか。
「ダメな上司を持った部下は、自分がマネジメント側に回ったときに、同じことを下に行います。このダメなマネジメントの連鎖を、管理職として断ち切らなくてはならない。また、経営層にも成果をしっかり見せることで、『この働き方が正しいんだ』と主張することが重要な役割です」
クライアントの「至急!」は、「オレ・オープンソース化」で乗り切れ
また、よくある「帰れない」パターンは、クライアントから昼夜問わず、至急の案件が飛び込んでくることだ。
「この対策としては、チームとして動けるかどうかがカギになります。さすがに1人しかいないと逃げようがありませんが、チームなら融通が利きます。もちろん、これには社員個人だけでなく、社内体制をどう整備するかから取り組む必要がありますが」
フローレンスでは、業務1つひとつをマニュアル化。メインの担当者が不在でも、誰かがマニュアルを参照しながらフォローできる仕組みを作っているという。
「『オレしかわからない業務』をなくすことで、個人の負荷を分散できるのに加えて、万が一の場合のリスク対策にもなります。ちなみに僕は、『オレ・オープンソース化』って呼んでます(笑)」(次ページへ続く)



