「仕事を作り出す」エグゼクティブには、数千万円の案件あり

まず聞きたいのが、「ITエグゼクティブ」の定義だ。言葉ばかりが1人歩きしている感があるが、実際のところ、どんなスキルやキャリアを持った人材が「ITエグゼクティブ」と呼ばれるのだろうか。
「時代によって定義は異なりますが、今のような不況下では、ずばり『仕事を作り出す人』です。具体的には、新しいサービスを生み出す企画力と実行力、大規模案件を取ってこられる営業力を持つ人を指します。こうした人材は、好景気のときはもちろん、不況下ではさらに強く求められます」(株式会社コンコードエグゼクティブグループ代表取締役、CEO 渡辺秀和氏)
たとえITビジネスであっても、仕事の起点は『営業』になる。どんなに優秀なエンジニアがいても、仕事自体がなければ能力を発揮する場もない。しかし「営業」といっても、純粋に営業だけを担当する人もいれば、エンジニアでありながらコンサルティングセールスに携わる人までさまざまだ。
そうした微妙なポジションの違いなどによって、人材市場からの評価の違いはあるのだろうか。IT系人材のキャリアコンサルティングを専門に手がける同社 エグゼクティブコンサルタントの青木康裕氏はこう語る。
「企業は、確実に売上を立てられる人材を求めています。つまりは実力主義。クライアント企業やコンシューマーに接するフロント部分での企画・開発・プロデュースができる人材が、いまもっともホットだといえるでしょう」
こうした人材ならば、このご時勢でも高待遇で迎え入れられ、コンコードエグゼクティブグループでは、年収数千万円クラスの案件も扱っているという。「ITエグゼクティブは不況知らず」はあながち嘘ではないようだ。
そのため、景況感を気にしてチャンスをふいにしないよう、青木氏は忠告する。
「最近の転職活動者に共通しているのは、自分の価値を正しく認識していないということです。たとえば、現状年収3,000万円のエグゼクティブでも、企業との条件交渉のときに、『この景気ですから、年収は1,500万円くらいで結構です』という態度で臨む。すると本当は3,000万円の価値のある方でも年収は1,500万円なってしまうものなんです。
たしかに、リストラなどで背に腹は替えられないという気持ちはわかりますが、実にもったいないことです。能力のある人にとって、たとえ不況下であっても、謙虚さはむしろマイナスに働くというのを知っていて欲しいですね」
自己満足でなく、世の中のニーズを踏まえたスキルアップを
営業や企画が仕事を生み出す存在であるとはいえ、ITを支えているのはやはり技術者である。スキルアップにも熱心で、学ぶ意欲の高さはよく知られるところだ。転職市場は、彼らをどう評価しているのだろうか。
「もちろん業務に必要な基本的能力や知識、経験が不可欠なのは言うまでもありません。しかし、時代の風を読まずにライバルが多い領域で『この技術なら人に負けない』というだけでは、エグゼクティブへの転職は難しいでしょう。腕を磨くことも大切ですが、それが世の中に求められているのか、相対的に見て売り物になるのかを考えて、スキルアップのプランを立てていくことも重要です」(渡辺氏)。
キャリアアップ転職を考えるなら、職能のピラミッドの中でつねに上へ向かうように心がけることが大事だ。
「最初は技術者からスタートした人も、企業にとって不可欠な人材を目指していくことが、ITエグゼクティブを目指すキャリア形成には欠かせません。それを対人関係がわずらわしいからといった理由で避けていると、いつまでも同じ階層の中で、『転社』だけを繰り返して終わってしまいます。少しずつで結構ですから、営業の知識やコミュニケーションスキルなどを身につけて、上へ上へと自分のポジションをアップさせていくことが、本当の意味でキャリアアップにつながっていくのです」(青木氏)。(次ページへ続く)





