オリジナリティは「真似の積み重ね」から生まれる

私の新刊、『仕事ができる人は、仕事ができる人を真似ていく』(講談社)の内容から話をさせていただいている連載。いよいよ今回が最終回になります。
そこで最後に私が述べたいことは、「オリジナリティをつくる」ということ。
すると「真似ではないじゃない!」と思われそうですが、そうではありません。真似を追求した結果、「あなたらしさ」なり、「あなたが一番望んでいるやり方」なり、あなた独自の「考え方」や「ビジネススキル」が生まれてくる……ということなんです。
別にこれは意外な話ではありません。次の言葉は19世紀の哲学者、エマーソンがこう述べました。
すべての人間は先祖からの引用であって、クモのように自分自身の腹のなかから糸をたぐり出して巣をつくったりするような独創性を求めるとしたら、ひとりとして独創的天才などいなくなる、もっとも偉大な天才とは、他人のお陰をもっとも受けている人間である
このように、「独創的な能力を身につけたかったら、できるだけ多く人の真似を取り入れなさい」という格言は、古くから言われていることなんです。にもかかわらず、私たちは「特別な存在になろう」とか「オンリーワンを目指せ」とばかりに、他人と違うことばかりやろうとする……。
これが結果的には、独自の発展ができない要因になっているのかもしれません。
「真似」は、あなた自身の「思考の成果」に他ならない!
そもそも「オリジナリティ」とは、一体何なのでしょう?
独自のやり方? 独自のノウハウ?
でも、どんな独自なことも、すべては自分自身の頭の中にある思考から生まれたもの。ということは、「独自の思考」を極めた人が、「オリジナリティを発揮できる人」ということになるんだと思います。
けれども、じゃあ「独自でない思考」って何でしょう?
世の中には他人の脳みそで考えられる人なんていやしません。どんなことでも、自分で決断を下して何かを実行している限り、それは自分の「独自な思考」でなされたものであるはずです。
でも、誰かの考え方を真似てやったことは、はたして自分の思考といえるのか?
ここに実は、「真似の本質」があります。
たとえばあなたが、私の本を読み、その考え方を「いいな!」と思って、やり方を真似ることにしたとしましょう。けれども、私が本当にあなたの立場に立って、同じ仕事をやるとしたら、同じようにやるでしょうか?
そんなことはわかりません。やはり、「あなたの脳」と「夏川の脳」は違うのです。私は私で、別な発想で仕事をすると思います。
すると、「真似する」ということは、あくまで「夏川の考え方」を「あなたの解釈」で取り入れ、自らのやり方を発展させた「独自の思考開発」ということになるわけです。これが「真似する」ということの真意なんです。
実際、「考え方を真似する」なんてことが、本当の意味で私たちにできるわけがありません。脳の情報をそのままインストールすることはできないのですから、これは当然のこと。
真似という行為は、あくまで「その人はこうやっているのだろう」とか、「こう考えているのだろう」と、私たちが創造力を働かせ、それを取り込んでいるわけです。
だから、ひょっとしたら真似た人の考えとは、本当は違うのかもしれない。けれども結果を出すのは、あくまでも自分自身。重要なのは「どうオリジナリティにしたか」であって、「真似られているかどうか」には、あまり意味がないんです。(次ページへ続く)



