若者を襲うのは「就職氷河期再来」ではなく「就活格差」だ

今回からは「若者」をテーマに、彼らの実態を紹介しつつ、彼らをどうマネジメントするかについて考えてみたいと思います。20代後半以上の方はマネジメントの参考に、20代前半の方は自分たちとは何なのかを考える上でのヒントにしてみてください。
このたび、新作『就活格差』(中経出版)を発表しました。内容を簡単にご紹介しましょう。昨年から「就職氷河期再来」という報道がされるようになりましたが、実は就職氷河期は再来していません。たしかに、リクルートワークス研究所が毎年発表している大卒者の有効求人倍率は2009年度の2.14倍から2010年度は1.62倍に悪化しました。
しかし冷静に考えてみると、この1.62倍という数字はまだ「売り手市場」の数字なのです。長年続いた就職氷河期のころの有効求人倍率は1.3倍前後でした。もっとも有効求人倍率が低かった2000年度は0.99倍です。これに対して、「売り手市場に変化した」と報道された2006年度の有効求人倍率は1.60倍でした。そのころとほぼ同じ数字なのに、「就職氷河期再来」と報道されるのは奇妙ですね。
それよりも問題なのは学生間の「就活格差」です。内定を取れる学生と取れない学生の差が顕著になっています。ここ十数年間で、企業が学生に求めることは高度化し、それを見抜くための選考手法も進化し続けました。
一方で、学生は苦労せずに大学に入れる時代になり、学生という存在自体がありふれたものになってしまいました。また、学生は「草食化」しましたし、上の世代とのコミュニケーションが極度に苦手になってしまいました。結果として、5~10社の内定が出る「内定長者」と、「無い内定」の学生に二極化してしまいました。
学生の間に実在するさまざまな「格差」 社会人はどうだ?
では、どのような「格差」が発生しているのでしょうか。1つは「学歴格差」です。学歴差別は今でも根強く残っているのも事実です。企業が質重視の採用に走る中、それが加速している部分もあります。
一方、学歴不問採用を行っている企業でも、フラットな視点で選考したとしても結果として残るのは上位校だらけになっていることもあります。実際、ある大手メーカーにお伺いしたところ、「今年は質重視で採用したら、結果として昨年なら内定していた地方国立大学や中堅私大の学生がどんどん落ちてしまった」という声を聞きました。
もう1つは「情報格差」です。どのような情報源を参考にしているのかで差がついています。学生にインタビューした結果、興味深かったのは就活がうまくいく学生とそうではない学生の違いとして、「有料」の情報に接しているかどうかという違いが明らかになりました。
具体的に言うと、たとえばビジネス誌を購読しているかどうかということです。さらには、「社会人」に直接会って話を聞いているかどうかの差も出ていました。「行動格差」も問題です。たとえば、OB・OG訪問をしている学生とそうでない学生の差です。さらには、「仲間格差」も存在します。就活仲間がどんな仲間なのかどうかで差がついています。
このような実態を紹介し、一学生は、そして学生を採用する一企業は今、何をするべきなのかについてご紹介した本です。「学生の就活」の本ではありますが、「転職」のヒントにもなる本だと思っていますので、ぜひ手にとってみてください。(次ページへ続く)



