部下の強みを生かす「質問力」マネジメント
マネジメントの父、P.F.ドラッカーは、部下のマネジメントについて、著書「経営者の条件」(ダイヤモンド社)において、下記のように述べた。
部下の弱みに目を向けることは、間違っているばかりか無責任である。上司たる者は、組織に対して、部下一人ひとりの強みを可能な限り生かす責任がある。部下に対して、彼らの強みを最大限に生かす責任がある。
つまり、上司には、部下の強みこそを伸ばそう、生かそうとする姿勢が求められるのである。それをドラッカーは「上司の責任」とまで位置づけている。
では、部下の強みを生かすには、どうすればよいのだろうか? まずは、上司自ら、自分の強みと弱みに関して、自己分析することである。自分のことをわかっていなければ、他者理解も難しいからだ。
そして、部下について、よく知ろうとしなければならない。部下のことをよく知るためには、効果的な質問を投げかけられるようになること。はじめは物事の好き嫌いを問うのがいいだろう。そして、好き嫌い、それぞれその理由を聞くこと。そうすると、部下の価値観が見えてくる。
また仕事の上でも、一方的にトップダウンで指揮管理するのではなく、その業務について、部下がどういった考えを持っているか、意見を積極的に聞くといいだろう。
ある経営者は、業務を進めるとき、「こうしろ」と命じるのではなく、質問によって部下に考えさせ、部下が答えにたどりついたときに、ようやく「よし、ひとつ、その手でいってみないか」と、あたかも部下が自ら導き出した案であるかのようにしていたそうだ。
質問によって部下のことを知っていくと、部下の強み、弱み、また苦手意識があるだけで、実は適性のあることなどが見えてくるものだ。見えてきた弱みは個性として見、強みはどんどん生かせるように水を向けよう。
「人間は本来、働くことが好きで楽しめる生き物である」という視点に立つ
心理学者のマグレガーは労働場面で2つの人間観が働いていることに注目し、「X理論」と「Y理論」という考え方を提唱した。
X理論とは、性悪説的な考えに立った人間観であり、人間は本来、仕事が嫌いで責任を回避したがり、できるだけ楽をしようとする自己中心的な存在であるという考え方。X理論に基づいた人間観を持つ人は、人への対応が監視的で命令的になるとされる。
一方、Y理論とは、性善説的な考え方に立った人間観であり、人間は本来、働くことが好きであり、遊びや休息と労働はおなじものであるという考え方だ。Y理論の立場は、人間は責任を持って自発的に仕事をやりたいと望んでいるものであり、遊びたいと考えるのとおなじくらい、仕事のなかでも創意工夫をしたいと考えているものと見る。
筆者は、人の上に立つ人間は、Y理論に基づいた考え方をすべきであると考える。部下には、元来、成長欲求があるととらえ、それを信頼して、成長しようとする力を伸ばしてやることこそ、上司の役目といえるのではないだろうか。そのためには、上司自らY理論に立ち、仕事を楽しもうとする姿勢が大事である。(次ページへ続く)


