言葉の選び方で損をしている人がいます。マーケティングやら何やらのデータの収集や分析を入念にされているのに、どうも言うこと、書くことに説得力がない感じの人がいらっしゃいますが、非常にもったいないですよね。
実は「客観的である」ということと「説得力がある」というのは実は別の話で、根拠があったとしても、説得力のある話し方をしないと話は通りにくいのです。
―などと書くと「そんな小手先の技術を磨いてもムダ!しかもそんなんで騙されるやつなんていないよ!」という反論をいただきそうですが、ひとまず実例を作ってみたのでご一考くださいませ。
ネットの新しいサービスについて語るとして、たとえば以下のような話し方はどうでしょう。
思いつきで言ってて申し訳ないんですが、ブログってサービスとしての可能性はもう頭打ちだと思うんですよ。新しいサービスについて、どんどん考えていこうと思います。わたしはそこんとこしっかりやっておかないといけないと思いますね。
すごく有名な人であれば、この言い方でも説得力が発生しますが、新入社員さんが言っていたらどうでしょう。何も言ってないに等しいし、「思いつくままに偉そうに話すんだから……」と思うに違いありません。
では、今の言い方を変えるとして、次のような言い方はどうでしょう。
あくまで仮説の域を出ないのですが、ブログの、サービスとしての可能性は頭打ちだと考えています。新しいサービスを積極的に創出していくことが必要なんじゃないかと考えますね。今までの倍のスピードでやることが要求されているんですよ。
さすがに、元が何も言ってない話なので限度がありますが、ぼんやりしていると、この人の言うことは正しいかもしれん、という気持ちになりますよね。
ということで、今使ったポイントについて「ここに気をつければ客観的に聞こえる」という言い回しについて考察していきたいと思います。
(1)三人称にすることで主観を隠す
「わたしは、Aについて~だと思います」という文は一人称ですよね。これは、「Aは~であると思われます」という言い方に変換することができます。こちらは主語がAになっていて、一人称である「わたし」の存在が明示されなくなっています。つまり、Aについての描写だけがあり、話している内容についての価値判断を行う「わたし」の存在を隠すことによって、主観的な要素がスムーズに排除されるというわけです。
この手法は日常的にマスコミで使われていたりもしますが、それだけ使いやすい手法だと言えます。
(2)「しっかり・きちんと・ちゃんと」を使わない
政治家の答弁でよく聞くのが「この件については、しっかり取り組んでまいります」という言い方。具体的な約束をすると後で叩かれるのでああいう言い方になっているんでしょうけど、われわれサラリーマンはいずれ具体的な約束をしなければいけない運命にあるので、どうせ約束するなら最初から具体的に話をしておくべきです。
たとえば、具体的な戦術などが入るとよいのですが、それはハードルが高い、というのであれば、「この件については、入念に取り組みます」という言い方でもかなり印象はアップするので、どこまで具体化できるにせよ、「しっかり・きちんと・ちゃんと」以外の副詞を使っていくとお得です。
「しっかり・きちんと・ちゃんと」に類する言葉は、信頼性を勝ち得るために語る言葉なので、その言葉そのものから信頼性が感じられないのは本末転倒なので、積極的に言い替えていくべきでしょう。



