趣味でボルダリングを始め、クライミングジムを設計・運営

東京・西日暮里駅近くにあるクライミングジム「ライノ&バード」は、線路横にある天井の高い倉庫の中で、岩登りができる独特の空間だ。設計、施工を手掛けた建築デザイナーの藤枝隆介さんが運営している。同ジムに通う人は、20代後半から30代の男性が多く、女性も少しずつ増えている。
ロープ等の確保器を使わず岩壁を登るスポーツである“ボルダリング”は、欧米では盛んに行われ、日本でも広まりつつある。藤枝さんはもともと趣味でボルダリングを始め、クライミングジムに通っていた。
「ボルダリングはシンプルな競技だけれど、ものすごく集中力がいる奥の深い競技。人間が壁を登るという行為は、走ることと同じように原始的なものです。岩を登りきった時には、開放感があります」
趣味が、ジムの運営という仕事に結び付いた。以前クライミングジムは、長くクライミングと関わり、クライミング界の中心にいる人が運営する場合が多かったが、ここ数年は藤枝さんのように趣味で楽しむ人がジムを開くケースも増えている。
設計事務所から独立 芸大の同級生と共同でオフィスを持つ
子どもの頃から絵を描くことが好きだった藤枝さんは、高校生の時、ものを作ることに関心を抱いた。そして芸大の建築学科に進学。卒業して1年近く、設計事務所でアルバイトをした後、隈研吾建築都市設計事務所に就職した。1年半勤務し、美術館等、大きな建物の設計や内装を手掛けた。
1999年、担当していた物件の仕事が済んだ頃、友人から設計依頼が来たことをきっかけに、同事務所を辞めて独立。最初は、自宅アパートで個人設計事務所を開き、店舗や個人住宅の設計を手掛けていた。ひとり起業をしてみたが、1人で黙々とパソコンに向かっている生活は物足りなかった。「やはり自宅とは別に、オフィスが欲しい。同じような仕事をする人達が何人か集まれば、オフィスを借りられるのではないか」と考えた。
建築家は、独立してフリーで働く人も多い。設計事務所に勤務したり、個人で働いたりを繰り返すパターンもある。藤枝さんは、同じようにひとり起業した芸大の同級生達に声をかけた。
2002年、芸大の同級生である建築デザイナー、グラフィックデザイナー等、クリエイター達と一緒に文京区・本郷にシェアオフィス・ダイブを設立。10坪くらいの部屋に、最初は5人の机を置いた。メンバーが増え、2部屋借りるようになった。一人で机に向かうよりも、仲間と一緒に毎日を過ごす方が仕事にメリハリがつく。メンバーはそれぞれ別々の案件を担当しているが、デザインのアイデアを出す時は一緒に考え、意見を言い合い、刺激を受け合うことができた。
翌年、「どうせ同じ場所に一緒にいるのなら、会社を作ってしまおう」と、同級生4名でファロ・デザイン有限会社 一級建築士事務所を共同設立した。 (次ページへ続く)



