ファザーリング・ジャパン代表理事 安藤哲也さん登場!
この連載では久々のインタビュー。今回と次回は徹子の部屋風に言うと安藤哲也さんがお客さまです。安藤さんは出版・書店業界で活躍され、現在はファザーリング・ジャパンというNPO法人代表理事でもあります。
私がライターになった直後、宣伝会議の編集者・ライター養成講座を受講していた際、安藤さんが講師の1人でした。出版業界での厳しい現状などを軽妙なテンポでお話いただき、影響を受けました。
実は安藤さんは転職歴が多い方です。私は『転職は1億円損をする』で早期転職が損をする、との論を展開しました。安藤さんの経歴は私の論と真逆ではありますが、結果的には成功されています。
転職を繰り返して、なぜ結果を出したのか、そのあたりもうかがいたいと思います。
音楽と本を軸に、転職を繰り返した20代

石渡:明治大学卒業後にまず有紀書房に入社されました。
安藤:大学時代はバンド活動に明け暮れていました。音楽の次に本が好きだったので出版業界を選択したのです。だから、就職活動ではっきりしていたのは「出版業界以外受けない」、これだけです。大手を中心に十数社受けたのですがうまく行かず。でも、卒業することは決めていたのでどうしようかと考えていたところ、卒業間際の2月に有紀書房が求人広告を出していたので応募、採用されました。
石渡:有紀書房は1年間在籍し転職されています。
安藤:入社すると配属先は販売。今思えば学ぶことは多かったのですが、当時は書店営業の地方出張で2週間、ビジネスホテルに連泊するような生活でした。「ルートセールスが自分のやりたかったことなのか」と不満を持ち、1年間で辞めました。
石渡:その次が音楽出版社のリットーミュージックに転職されました。
安藤:これも新聞広告を見て応募しました。実用書より、音楽関連の出版社の方が面白そうだ、と思いまして。このリットーミュージックに在籍しているときは前の有紀書房よりも仕事にのめりこみました。出版業界の構造や働くことはどういうことか、などアイデンティティに関わる部分を形成していきました。
石渡:このリットーミュージックで師匠とも言うべき上司に恵まれたそうで。
安藤:「管理職の仕事は部下を管理することではない」が持論の方でした。それよりも部下が長所を活かして仕事をする場を作るのが管理職と考え、かつ実行されていた方で。私もその後、管理職のポジションについたときは、これに倣うようにしてきました。
石渡:好きな音楽関連の出版社、しかも理解のある上司がいる、これは理想ではありませんでしたか?
安藤:実は趣味と仕事が一緒、という点が段々と苦痛になっていました。音楽の出版社ですから関係者からCDやコンサートチケットを貰う機会が多いことは確かです。羨ましがられますが、好きでもないミュージシャンのコンサートに付き合いで行かなくてはならないこともあります。そうすると段々と音楽に冷めてしまいました。だったら会社を辞めて、一ファンに戻りたいなと。
石渡:リットーミュージックの次がUPUという広告代理店ですね。
安藤:本業はそうですが、ちょうど出版事業部を新設していて、そこの販売スタッフを募集していまして採用されました。この会社の在籍期間は5年半くらいです。販売促進として2年、その後、希望していた宣伝部門で2年、あとは代理店業務をやっていました。
石渡:この会社を辞めたきっかけは、上司が一因だったそうですね。
安藤:在籍していたときはちょうどバブル経済、それから崩壊した時期です。広告代理店なので影響は大きかったですし、事業建て直しに来た部長が管理型の上司でまったく合いませんでした。
石渡:そんなにひどかったのですか?
安藤:イヤな担任教師のように偉そうな態度でした。しまいには「君の言動は若手社員に悪影響を与える」とまで言われました。まあ、今思えば、反面教師ですね。それ以来、人のいいところを伸ばそう、というマネジメントを心がけるようになりました。(次ページへ続く)



